「温度が選択できる湯沸かしポットのある生活」QOLを爆上げする製品の「絶妙」なつくりとは

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コーヒー、紅茶、緑茶など(以下、カフェ飲料と雑に呼びます)。お湯を注いで抽出するタイプの飲み物において、味に大きな影響を与える要素のひとつが「お湯の温度」です。そのため、カフェ飲料好きにとってお湯の温度は大変に重要なのですが、とはいえ「沸かしたてのお湯(=沸騰した100度のお湯)」以外の温度、たとえば90度とかって、作るのが難しいですよね。

実際に僕の家ではこの問題を解決すべく、温度指定型の湯沸かしポットを購入しようとしていました。当初検討していた製品は1度単位で温度が決められる山善の電気ケトルです。これは、僕が会社でコーヒーを入れるのにも使っていますし、なによりプロでも愛用されるほどに有名な製品です。ただ正直なところ、使い続けている中で「毎度の温度設定がめんどい…」と思っていたのも事実なんですよね。毎日使うものは、もっとシンプルにしておきたい…!

と、そんな時にお声かけいただいたのが、VeSync社傘下のブランド「COSORI」の湯沸かしポットです。今回、レビュー用に製品を無償提供していただきましたので、1カ月強じっくりと使った今、その合理性と「ちょうどよさ」について紹介したいと思います。

見た目がものすごくいい

合理性と利便性を基によく考えられた製品

COSORIの製品は、コーヒーなどを入れるときに便利な「グースネック(=注ぎ口がツルのようになったタイプ」の電気ポットで、サイズは0.8リットル。1200Wのハイパワー湯沸かしで、某有名ブランド製品と同等の短時間沸騰が可能。また、なにより強烈なのが60度、70度、85度、90度、そして100度(沸騰)と各温度ボタンにプリセットされた温度をワンタッチで指定して湯沸かしできること。ちなみ保温(60分まで)もワンタッチでON/OFFできるのが強みです。

中国茶のところを緑茶に置き換えたい気持ちはある

そんなCOSORIのポットですが、いわゆる「合理性と利便性を基によく考えている」という優秀な一品だな…と使えば使うほど感じています。とにかくプリセットのボタンをタッチするだけで希望の温度になるというのは、想像以上に便利というか、「これで良かったんだ」という想いでいっぱいになっています。

というのも、そもそも我が家では、お湯の用途が緑茶、紅茶、中国茶、コーヒー、固形スープ類など様々でした。特にカフェ飲料にはこだわりがあって、おいしい飲み物を飲むことは毎日の忙しい生活の中で重要な要素でした。しかも、僕はコーヒー(欲しいのは82〜5度)が飲みたいけど妻は紅茶(がんがんに沸騰したお湯)、みたいな想いが混在するケースもありまして、お湯の温度問題は意外と根深いものがあったのです。

このケース、「お湯なんてとにかく沸騰していればいいんじゃないの?」と思われガチですが、いざ緑茶やコーヒーなどをいれようと思うと、温度が高すぎることが問題でした。温度が高いと、緑茶やコーヒーは茶葉/豆に含まれた雑味となる苦味成分が多めに抽出されてしまうため、本来の甘みやうま味を感じにくい、いわゆる渋い飲み物になってしまうのですね。

かといってお湯をぬるめにしてしまうと、今度は紅茶の味わいが引き立ちません。紅茶、とくにダージリンは高い温度が命。沸騰したてのお湯を用いることで、あの香りと味わいを引き出すことができるわけです。

そこで本製品です。こちらは玉露など甘みとアミノ酸を抽出したい飲み物にマッチする60度、中国茶(白茶)や煎茶にマッチする70度、烏龍茶や浅煎りコーヒーに適した85度、深煎りのコーヒーに適した90度、そして紅茶や一般的な中国茶に適した100度(沸騰)と、各飲み物にある程度適した温度が、指定のボタンをタップするだけで沸かせます

1度単位で設定する必要は…無い場合が多かった

そもそもこの電気ポットと呼ばれる製品群には、1度単位で温度が調整できるポットが存在します。有名なところでは前述の山善の製品がそうですね。僕も会社ではそれを使っていますが、82度や86度、96度など、1度単位で細かく温度を決められるのは、それ相応の満足感がありました。

しかし!今回のポットを使ってみてわかったのは、その1度単位を決める操作や、1度単位の設定が「毎日の生活の中ではそんなに必要なかったかもしれない」ということでした。

温度は大事、でも繰り返し作業にアジャストする妥協も大事

例えばこれがプロなら、コーヒー用のドリップポットに温度計を付け、1度単位の細かさでお湯を調整していれることがあるでしょう。でも僕ら一般人、少なくとも我が家が毎日いれるコーヒー、紅茶、緑茶に、1度単位の管理ってさすがに過剰だったんじゃ無いかって、いまは思います。

もちろん厳密には、82度と85度でいれたコーヒーの味わいは、わずかに違うことでしょう。しかし、毎回82度を設定する面倒さと、今回のワンタッチで85度が沸く簡単さ。毎日何度も同じ作業を繰り返すことを考えると、僕は85度ワンタッチに傾いてしまいました。

しかし面白いもので、その結果何が起きたかといえば、コーヒーを飲む頻度が爆上がりしました。ほんの少しのめんどくささが減るだけで、ハンドドリップする気持ちがものすごく高まったんです。結果「85度なりのベストでいれられればいいじゃないか」と完全なるマインドチェンジが発生しました。

低い温度から沸かしていけば、複数の飲み物に対応可能

これはものすごくニッチな需要になってしまうかもしれませんが、我が家のように紅茶とコーヒーを同時にいれることが毎日発生するような家では、低い温度から沸かしていくことで、複数のカフェ飲料を順番にいれることが可能となりました。

やり方は簡単。まずポットに800ml限界までお水をいれます。水道水でもいいですが、ミネラルウォーターや浄水だとなおいいですね。

続いて、まず低い温度でいれるほうの飲み物に温度を合わせます。今回は浅煎りのコーヒーなので85度にしました。1分ほどするとお湯が沸きますので、コーヒーをいれます。2人分いれて240mlほどつかったので、ポット内の残りは560mlほど。

続いて、沸騰ボタンを押してお湯を沸騰させます。85度→100度なのでものの数秒で沸きます。このあたりがマジですごい。

沸騰したら、今度は紅茶をいれます。今回はダージリンだったのでなるべく高い温度がいいため、100度(沸騰したお湯)をつかったわけですね。のこり540mlをつかって、180ml×3回分の紅茶がとれました(僕は1人分180mlを標準にしています)。

ということで、800mlのケトル1つでコーヒー2人前と紅茶3人前が適温を使って一度に作れてしまったのです。もう完全に革命です。朝、コーヒーか紅茶かどちらかを選ぶ必要がなくなり、両方いれれば良くなったというのが本当に最高。しかもケトルはコーヒーをハンドドリップでいれるのに最適な形状をしているので、ドリップ用ケトルが不要になり、キッチンも片付きました。たった1台の湯沸かしケトルが来ただけなのに、我が家としては様々なものが改革されてしまったのです。

この仕様になったら120点

すでに100点あげたいこの製品ですが、せっかっくなので「これがあったら限界突破の120点だな…」という点を挙げておきます。それは、プリセット温度の自由化です。ようは、85度のボタンを82度に変更できたり、90度のボタンを95度に変更できたり…ということです。こうすれば、こだわり派にも対応できて、この製品のすばらしさがより多くの人に伝わるかなと…なんてことを思っていたら、実は1ボタンだけ自由化されている上位機種があるそうです。やっぱり考えるよね。

あとはポット本体がちょっとだけ重いですかね。片手だとちょっと疲れます。ただ底面を反対側の手でささえたらなんてことは無かったので、気になる場合は両手で使えばいいだけなのでさほど大きな問題ではありません。ほか、側面が熱くなるのは製品的に仕方がないですね。お子さんがいる家庭では設置場所にご注意を。

でもこれらが現製品を使っての体験を阻害しているかといえば、まったくそんなことはありません。そこが製品のすごいところかなと思います。

長く使う上で快適だったポイントをおさらい

最後に、もういちどこの製品が最高だったポイント、特に毎日使うものなので、その仕様が身に染みて素晴らしかったという点をまとめておきます。

ワンタッチで決められたお湯の温度を選び、保温の有無も設定できるのは、いたずらに温度で悩むことから解放され、脳のリソースを使わないというニッチな観点からも「快適」そのものでした。

タッチするボタンも物理ボタンではなく触るだけでOKなタイプのため、手入れのしやすさと操作のしやすさが同居している感じでした。ちなみに操作音がない点も好みです(湯が沸いた通知音はON/OFF可能)。

控えめな点灯も好印象。まぶしいのは嫌だから

湯沸かし速度についても「速い!」のひとことで、急にお湯が欲しい!という要望にもバッチリ応えてくれました。ここまでのスピードでお湯が沸かせるポットは初めて導入したのですが、便利ですねえ。

ほか、グースネックの形状がそそぎやすいとか、マットブラックの外観は置き場所を選ばないとか、フタが大きいので水を入れやすいとか、細かいところの積み重ねが【毎日の使用】を快適にしてくれています。これ、マジでいい商品ですよ。

ということで、製品はAmazonからサクッと購入可能です。Amazonでもレビューの評価はとてもいいですね。おすすめです。