名古屋城本丸御殿 豪華絢爛な姿を全力で紹介!【取材】
徳川御三家でも最も権力を持っていた「尾張藩」の城である名古屋城は、いわば日本ナンバー2の建物。しかも徳川家康公が将軍になってから、自分の子供や孫のために作った城ということもあり、その建築には当時の最高水準である技術が惜しみなく注がれました。
そんな名古屋城は戦争により焼失したわけですが、市民の熱い思いもあって早々に復活。しかし本丸御殿については、その難易度などもあり2009年まで着工がなされませんでした。そこから10年、ついに名古屋城…いや国内でも最も豪華かつ豪華かつ豪華、とにかくこれ以上に豪華なものを知らないというレベルの「本丸御殿」が復元され、完成公開されることとなりました!
本音を言いましょう。やっと日本にも、諸外国のフォトジェニックすぎる建築物と肩を並べる…いや、超えていると思っても差し支えないレベルの歴史と価値ある建物が(復元とはいえ)できましたね。もし職人の技術の世界に興味があるならば、毎日通っても飽きないでしょう。
*本記事は名古屋城本丸御殿のPRのため招待を受けて取材し、執筆しています
さっそく本丸御殿の様子を写真でご紹介
さて、この記事を読みに来て下さった方は、恐らくですが「本丸御殿の様子がどんなか知りたい」という思いが強いかと思いますので、ここへ至る逸話などは後にして、まずは総工費150億(うち寄付50億!)現代における技術の限界に挑戦した本丸御殿復元の結果をご覧頂きます。
なお、本丸御殿は3段階に分けて少しずつ公開されてきましたので、下記には既に公開済みの場所も含まれています。僕も数年ほど前に来ているので、何カ所かは見たことがありました。
ではさっそく行ってみましょう。
表書院
まずは表書院。花鳥、麝香猫が彩る正式な謁見の間、なんだそう。玄関脇にあります。奥の1段上がっているところは上段の間といい、徳川義直が着座した部屋になります。
謁見の間ということもあって全部で5部屋からなり、とても広いのが特徴です。
対面所
対面所は身内だけが入ることのできる豪奢かつ私的な殿舎です。ようは藩主が内輪の催し物をするときのパーティールームですね。
この特殊な天上の作りは黒漆塗に金箔を貼った豪華なもので、折上小組格天上と呼ばれるそう。ものすごく異質で存在感があります。
障壁画は「風俗図」と呼ばれ、京都及び和歌山の四季の風物や名所、風俗が描かれています。
上洛殿
今回の復元の最終段階で目玉となるのがこちら、初公開の上洛殿(じょうらくでん)です。三代将軍家光の上洛に合わせ新築された建物で、ようは京都に行く途中の別荘ですね。時の将軍が泊まる場所ということで、豪華×豪華。豪華絢爛とはこのことか…!とため息が出る作りです。なんせ、目に付くもの全てが職人の技術で生み出された芸術品なのだから。
この欄間は花狭間格子欄間と呼ばれ、透かし彫りの花模様を付けた板で作られています。
これが上洛殿の全貌。彫刻欄間が目を引きます。富山県の職人が作ったそう。ふすま絵は狩野派作のものを復元模写しています。
アップにして撮影してもまったく破綻しない、恐ろしい技術力。
精巧な壁絵は復元模写。そもそも名古屋城は日本最初の城国宝だったこともあって、膨大な記録が残っており、精巧な復元が可能だったそう。幸運というか、いざという時の復元を考えて先回りした人たちがたくさんいたということですね。
絵は狩野派の狩野探幽が描いたものだそうです。復元模写は本丸御殿が復元することを見越して、復元の決まる10年以上前から少しずつはじめられたんだとか。大胆です。
どんな気持ちになるかというと、海外のびっしりと壁画の描かれた教会に来たみたいな感じ。どこまでも荘厳で煌びやかで、しかし上品さがあるのです。
ここで時を過ごした当時の将軍らも、同じような気持ちになったんだろうか。
上洛殿の中でも最も位の高い上段之間の天上は、黒漆塗二重折上げ蒔絵付格天上という、天井界の王様みたいな仕様になっています。
中央部分が持ち上げられているので「二重」となっています。天井そのものが芸術品、という果てしない存在です。
ほか、上洛殿の奥にはサウナ式風呂である「湯殿書院」と落ち着いた雰囲気の「黒木書院」がありました。
細かい部分の仕事が半端ない
さて、ここまでで注目すべき部屋は紹介しきったのですが、実は本丸御殿にはまだまだ見所があります。それが各所に使われた飾りや文様です。というのも、今回公開された部分以外で1,000程度だった金具に対し、今回公開された上洛殿だけで2,000を超える金具を使うという、目の回るようなことになっておりまして、その1つ1つのクオリティが…もの凄いのです。
これは釘隠しというカバーなんだそう。
引手金具だけで何種類あるんだ…!
当然ですが、細かい部分にも手抜き無し。
売ってたら買いたいくらいに、美しい。
もはや職人の執念のようなものを感じます。
天井ひとつでも様々なものが。こちら古来より続く一般的な「竿縁天井」。竿という細い木の上に天井板が乗っています。が、冷静に見ると節がまったくありません。この板を用意するだけでも莫大な費用がかかるんだそうです。
次にこちらが「格天上」。その名の通り格子状というか、升目に組まれています。仕切りのことを格縁(ごうぶち)と呼び、貼られた板を「鏡板」と呼ぶそうです。
見にくくてすみませんが、表書院の網目状の天井は「折上げ小組格天上」と呼ばれます。
先ほどの天井に漆を塗って仕上げた「黒漆塗折上げ小組格天上」。
さらに金具をあしらえた「黒漆塗金具付格天上」
最上級の「黒漆塗二重折上げ蒔絵付格天上」。こうやって段階的に見ると、全部入りだったってことがわかりますよね。うーん、深い。
このように、本丸御殿は見所しかない、想像を超えた建物なのです。
現代の徳川家康公
ちなみに、今回のプレス発表会では、本丸御殿のアテンドを「名古屋おもてなし武将隊」の徳川家康公が行ってくれました。終始現代に蘇った家康公を終始演じ、しかも相当な知識量。ふと思ってしまうのですよ、これ、タイムスリップしたような経験だなと。それくらいに熱の入ったアテンドなんです。文句の付けようが無い…!
それにしても、やはり城はいいな、と思わざるを得ないような完成度です。この本丸御殿を見るためだけに名古屋に来ても十分。それくらいの満足度は必ず得られるでしょう。
そもそもこの記事を呼んでいる時点で、絶対にこういうものに興味、持ってますよね。
何にも悩まなくて良いです。すぐにチケットを取って、名古屋へと行きましょう。
名古屋城本丸御殿 完成公開は6月8日(金)からです!
名古屋城本丸御殿
愛知県名古屋市中区本丸1−1
名古屋城の入場料:大人は500円。もちろん本丸御殿はこの500円で含まれています。
営業時間は午前9時~午後4時30分 ただし、本丸御殿へのご入場は午後4時まで。
SpecialThanks
今回は取材のために交通費を支給していただきました。プレスツアーに携わった全ての方に感謝します。
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