ミツバチかわいい…コロンバン原宿本店で貴重な都会の養蜂・採蜜見学!
東京を代表する老舗の洋菓子店「コロンバン原宿本店」にて、貴重な都会の養蜂・採蜜の現場を見学させてもらいました。ヒトコトで言うなら、ミツバチかわいい!
こんな都会のど真ん中で養蜂が可能なのか!
コロンバンさんの養蜂の現場はこちら。まわりには、ビル、ビル、ビル。そう、原宿のどまんなか(神宮前の交差点)にあるコロンバンさんのビルの屋上にて、養蜂が行われているのです。これはインパクトあるわ〜。
原宿コロンバン東京 みつばち委員会 というユニフォームまで!
ちなみに僕らにも安全のため白衣を用意してくれました。蜂は仇敵であるクマ、つまり黒いものに攻撃反応を示すので、こうして白い衣装を身につけるのがポイントなんですよね。ついでに書いておくと、ミツバチってとってもおとなしくてかわいいんですよ。こちらがいじめたり威嚇しない限りは刺されたりしません。
なお現在の時刻は日曜日の7時40分すぎ。こんなに人のいない原宿ははじめてです。
レッツ・採蜜!
さあ、現場では巣箱が開けられようとしています。ちなみに、1巣箱あたり3万匹ほどのミツバチがいます。
巣箱を開けられるということは緊急事態ですので、当然ミツバチは怒ります。怒ったら刺されます。当然です。だから興奮を静める必要があるのですが、それに使うのがこちらの薫煙機。なんとなんと、興奮したミツバチは煙を浴びると落ち着くのです。煙も特殊なものでは無く、単に紙を燃やしているだけというから驚きです。
さあ開いた。
緊急事態ですので、興奮して集まってきました…。
すかさず噴霧!
いなくなった!この間、たった1分ほど。すごい効果です。誰も傷つかない素晴らしい仕組みですね…。
巣箱を引き出してみるとこんな状態。なので、ミツバチさんには退散してもらいます。
その方法もワイルドで、このブラシにてはたいて落とすだけ。そんなにアバウトでいいんだ(笑
はい、キレイになりました。色が濃いところはハチミツでなく花粉が詰まっているところだそうです。
巣箱にハチミツが溜まると、ミツバチは「フタ」をします。なので、採蜜前にはフタを削り取ります。
フタをはがすと…ハチミツがとろーりとろーり…これはやばいね!だいたい空の状態から1週間で、最盛期には3日でここまでたっぷりのハチミツが溜まるそうです。ハチミツが満タンになるとミツバチが羽ばたいて風を起こして濃縮にかかるため、そうなる前に採蜜するのがポイントなんだとか。
このおいしそうなハチミツを採集するのは、この分離機と呼ばれるシンプルなドラム缶。
セッティングして中央のハンドルをまわすと…いわゆる「洗濯機」みたいに回転しまして、遠心力でハチミツが飛び出してドラム缶の中に落ちる、そんな仕組みになっています。
それではまわします。
くるくるくるくる…
このスピードを誤ると巣が壊れるそうなので、慎重に。
くるくるくるくる…
でたー!
で、でたーっ!
ハ チ ミ ツ だーーーーっ!
純度100%のハチミツを、味見します!
!!!
なんとなんと、採取したてのハチミツは、花の香り満点。味はフレッシュなハチミツですが、とにかく香りが芳醇。すごいねえ。
この香り、当然ながら近隣の花の状況で変わるそうなので、これがハチミツの個性になっているんだろうな〜と思いました。
ミツバチの生態的なところも学ぼう
さて、最後にミツバチについてお勉強。
まず、養蜂に使われるミツバチの8割〜9割くらいは、セイヨウミツバチという種類です。日本原産種のニホンミツバチとはコロニーの作り方や習性がことなるため、効率よくハチミツを採るならセイヨウミツバチで間違い無いとのこと。ちなみにセイヨウミツバチは外来種ではありますが、こちらも日本古来より生息するオオスズメバチを撃退することができないため、増えすぎることがなく、生態系バランスも崩れないそうです。(もちろん養蜂の場合はセイヨウミツバチが増えすぎないようにする管理が求められます)
なお養蜂をする場合には行政への届け出が必要ですが、届け出さえできれば誰でもやっていいのだとか。これも知らなかったわー。
蜂のコロニーの中心は、ご存じ女王蜂です。上記写真で1匹だけ体の大きい蜂がいますが、これが女王蜂です。実は働き蜂は全てメスで、ミツバチのほとんどはその働き蜂。コロニーの中には少数のオスと1匹の女王蜂がいて、オスは女王蜂と交尾して卵を産ませるためだけの存在なんだとか。だから食糧危機が起きると、真っ先に追い出されるそうです。まさにヒモ!厳しい世界!
女王蜂はコロニーの中心でどんと構えている印象がありますが、けしてそんなことはなく、この写真のようにコロニー中を移動し続けているのだそうです。
さて、こちらの写真、中央に盛り上がっているところがありますよね。こちら、まさにいまミツバチの幼虫が成虫になって出てこようとしている場所です。
面白いことに、ミツバチのメス、つまり働き蜂と女王蜂に違いはなくて、あるのは与えられた餌の違いのみ。女王蜂のみ、栄養価の高いローヤルゼリーを与えられて育てられるため、大きな体となるのだそう。へええええ。どうやって女王蜂が選ばれるのかってのは良くわからないみたいですね(詳しく知っている方教えてください)。
(追記)コロンバンの広報さんが、調べて追加で教えてくれました。
女王蜂になるか、働き蜂になるかは、生まれてくる場所が違うことによって、与えられる食べ物が違うことが原因と言えるようです。女王蜂候補は巣房の底にぶら下がったような形をした、王台と呼ばれるピーナッツ型の特別な部屋に産み付けられ、育児係の働きバチからローヤルゼリーをたっぷりと与えられて育てられます。通常の働き蜂は、はちみつや花粉が混ざったものを与えられ、それを食べて大きくなります。
生まれた場所で選別されるんですね。すごい社会性。
(追記ここまで)
さらに面白いのが、蜂のコロニーの分蜂という動きで、新しい女王蜂が生まれると、いままでの女王蜂はコロニーの働き蜂の半数を引き連れて新しい土地へ移住してしまうのだとか。養蜂においてそれは死活問題ですし、新しいコロニーを作られるとセイヨウミツバチの異常増加につながってしまうので、いま女王蜂がどんな状態かを監視することが大事なんだそうです。奥深い。
あ、新しいミツバチが顔を出しました。
出てきましたよ。しばらくすると飛べるようになるみたいです。
まだ自分が出てきた穴に未練がある模様(笑
こころなしか、模様が薄いのかな?
養蜂は農業だ
ということで、なかなかに興味深い見学でした。なんとなく知っていた養蜂ですが、この見学でグッと理解が深まったように思えます。なにより、よりいっそうミツバチのことがかわいくなりました。なお、この養蜂から採蜜できるのは4月末から6月くらい。この短い期間に1年分の蜜を採取できるかどうかが分かれ道になるのだとか。
はじめるにあたっては色々なところに相談を行って、今は養蜂についての研究を行っている玉川大学さんの卒業生にスタッフとなってもらい、採蜜を行っているのだそうです。
そもそもコロンバンさんが養蜂をはじめたのは、社会貢献がスタートにあり、また原宿が養蜂にとって適した土地だったから。社会貢献についてはこちらの記事が詳しいので参照の事。
何年か前から、北半球を中心に、ミツバチがいなくなるという“事件”が頻発し、このままでは花粉の媒介にも支障をきたし、生態系や食の安全も懸念される。ハチミツは、洋菓子の原料ではないか。日本のハチミツ自給率は、わずか6・4%。
次は養蜂だ、となっていったのは自然の流れだが、いかんせん全員が素人。はて、どうしたものか。その時、小澤社長が銀行の中目黒支店長だった時の取引先に、養蜂の専門家がいたことが判明。しかも、原宿在住で、5年ほど前まで、「原宿で実際にミツバチを飼育していた」というではないか。
>原宿新聞 – 原宿エリアの最新ニュース – 「原宿はちみつ」で地域貢献・社会貢献へ 小澤 俊文さん(コロンバン社長)
http://www.harajukushinbun.jp/special/130/
原宿が適地とのことですが、思えばミツバチの行動範囲である3キロ圏内には明治神宮や代々木公園など、緑も豊富。なによりミツバチは益虫であり、花粉媒介において重要な役割を担っているのは、花を育てている僕もよく知るところです。虫の力を借りながら、環境についても考える。もうね、養蜂って完全に農業ですね。
そんなわけで、環境への貢献と挑戦というコロンバンさんの養蜂は、スイーツ好きでかつ園芸もやっている僕としてはとても良い経験となりました。
お土産にコロンバンさんの「原宿はちみつロール」をいただきました。ザラメの沈めてあるふんわり生地に、ほんのりハチミツのクリームがあいまって、うはあ、これ、うまいね。妻も「原宿限定ということで完全にノーマークだった」というくらいの完成度で、入手困難ながらも「また食べたい!」と強く思い逸品でした。詳しくはまた別記事で紹介します。
これからは、ミツバチについてもっともっとかわいい!と思えそうです。コロンバンさん、貴重な機会をありがとうございました。今回コーディネートしてくれた@ysakakiにも感謝!
関連リンク
ちなみにAmazonでニホンミツバチ用ながら養蜂セットが売っていて相当な衝撃を受けました(笑
この記事の写真はほぼタムロンさんにお借りしている90mmで撮影しました。タムロンさんありがとうございます。