僕は2.9をあげたい。プロパイロット2.0の驚愕すべきその実力を体感してきた #日産あんばさだー

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日産自動車の企画「プロパイロット 2.0 帰宅試乗」に当選し、虎ノ門から大宮までスカイラインを運転して帰る機会に恵まれたので、レポートしておきます。

はっきりいって、僕の感じ方としては、プロパイロット2.0ってレベル2どころか限りなく3に近い2.9くらいでした。プロパイロット2.9、と僕は呼びたい。とはいえ、実用面での心配があったことも記しておきますね。

プロパイロット2.0とは

まずプロパイロット2.0について、ほとんどの方は名前くらいしか知らない気がするので、簡単に説明をしておきます。

このプロパイロット2.0とは、完璧なる自動運転の1歩手前、エンジンをかけて目的に到着するまでの一部をあくまで運転サポートしてくれるという機能です。自動運転=ドライバーが運転以外のことをしてよい、にはならないのがポイント。自動運転レベル(最大で5)でいうと2になるため、プロパイロット2.0と呼ぶようになっているみたいですね。

参考までに自動運転レベルについてですが
レベル0 人間が全部操作
レベル1 ステアリングかアクセルかのどちらかをサポート
レベル2 ステアリングもアクセルもサポート
レベル3 特定の場所で自動運転、緊急時の判断はドライバーの仕事
レベル4 特定の場所で自動運転
レベル5 全ての場所で自動運転

となっています。サポートはあくまで監督権が人間にあるという線引きですね。自動運転はコース選びもその場その場の判断も全てが車任せ、すなわち人間は寝てても良いというものです。

さて、日産のプロパイロット2.0では、車側で持っている3Dの地図と車が搭載する数十ものセンサーを組みあわせることで、いま車がどんな道を走っていて、周りにはどんな状態の車がいて、自車はどうしたらいいかを、車自身が判断してサポートしてくれるもので、僕が体験した限りは「未来…来た…」を言わざるを得ないほどに、間違いのない「ほぼ自動運転」が実現されていました。

現在のプロパイロット2.0でいう「一部」がどんなところかというと、高速道路です。信号もなく、周りの車との関係もはっきりしていて、なにより歩行者や自転車の飛び出しがないという、自動車にとっては処理すべき情報が少ない環境でのみ、ほぼほぼ自動運転である、プロパイロット2.0が実現されています。

 

プロパイロット2.0で帰宅してどうだったか?

さて、ここからはお待ちかねのプロパイロット2.0帰宅試乗のレポートです。

当日の夜、事前にメールなどで決めていた待ち合わせ場所へ行くと、真っ赤なスカイラインが止まっています。

まさにこの車です。何気にスカイラインを運転するのは初めてなので、ちょっと緊張しますね。

最初に車の説明と、簡単な機能の使い方、さらには承諾書などのサインをして、試乗はスタート。虎ノ門からということで、新橋の首都高入り口を目指します。

プロパイロット2.0はあくまで高速道路での運転をサポートしてくれるもの。一般道ではその力は発揮されない…んですが、このスカイラインはナビがフロントガラスへの投影型だったり、後方から死角に入った車がいるとAピラーのところの通知ライトが光ったりと、僕の乗る現行型スイフトスポーツを遥かに超える先進技術が搭載されていて、感心します。

さて、10分ほど走ると新橋駅前の高速入り口に到着。ここから高速道路に乗ると、さっそくプロパイロット2.0がスタート!というわけにはいかなくて、周辺の状況や合流などの少ない安定したところまでは車側の支援を受けつつ自分で運転しないといけません。ただし実際にはだいぶ車のほうのアシストが入っていて、2.0ではないプロパイロットと呼ばれる機能ではハンドルのサポートや前後の車間距離の調整、前走行車の追従、さらに渋滞時には自動発進&車間維持(つまり渋滞中はハンドルを持ってるだけでいい)をしてくれるなど、限りなく安全なラインで運転をサポートしてくれます

そして車も流れてきて、速度も60キロを突破。良い感じのゾーンに入ると…自動車側のインフォメーションが青になった=プロパイロット2.0が開始されました。そこで、恐る恐る手を離してみると…おおお、車が自動的に運転している感覚がある。カーブなどもハンドルを微調整しながらというよりは、道を知り尽くしているという感じで迷い無く1度でグッと曲がっていくのは不思議な体験です。正直、想像以上に自動運転。これ、レベル2どころかレベル2.9くらいあるのでは。僕の中ではプロパイロット2.9と呼びたいくらいの印象です。

というのも、実は周囲の状況などによって単なるプロパイロットに戻った場合でも、実際にはだいぶ運転をアシストしてくれるから。これは前方車両の動きをトレースしているのだと思いますが、カーブなんかもほとんどハンドルには手を添えているだけですね。舵角は車のほうで決めてくれます。だから、高速道路に乗って以降、ほとんど運転している感がありません。普段マニュアルを運転している自分にとっては、なんとも奇妙な感覚です。

次に車線変更ですが、これも想像以上にスムーズで、プロパイロット2.0がスススーっと自然にやってくれました。おお、すごいじゃない。真横を同速度で走る車だけは関知できないみたいなので、そこは目視する必要がありますが、これは車線変更を怖がってしまう初心者などには心強い機能ですねえ。

 

手の置き場所に困る

この写真は体験者記録用のスマホから切り出して渡された「オーバーでわかりやすい手放し」写真ですが、実際のプロパイロット2.0適用中は、手の置き所に困ります。だってね、自動車ってハンドルを離すこと想定して作られていないわけですよ。まったくもって、手持ち無沙汰になります。最初は疑心暗鬼と手を離す恐怖感から自動運転を注視していますが、途中から「手の置き場に困るなあ」というくらい自動運転に慣れてしまい、とはいえ手はいつでも運転に戻る場所に置く必要があって、難しいです。けっきょく膝の上に落ち着きました。

プロパイロット2.0はあくまで「運転サポート」である

自動運転ではないため、プロパイロット2.0であろうとなかろうと、運転中の視線は常に前方に送っている必要があり、視線がある程度はずれると警告が出されます。そう、プロパイロット2.0は運転者をもセンサーで監視しているのです。つまり運転の支持者はあくまで人間にあり、車はサポートにすぎないよ、ということなのです。これが本当に自動運転であるのなら、人間は別のことをしていてもいいわけですからね。プロパイロット2.0は、あくまで「人間の負担を減らすサポートを行いますよ」の域をでません。

 

プロパイロット2.0は限りなく安全なサポート

さて、このプロパイロット2.0を使っていたらどれくらい自分原因の事故を減らせるか?と聞かれたら、98%くらいかな?と答えられそうなくらいには、安全です。センサーは人間の能力超えたな、という実感がありありでした。ただし、あくまで運転のサポートなのです。だから、高速道路を運転する1時間が読書の時間になったり、スマホの時間になったりはしません。頭の中も、通常の9割程度運転側に脳みそ使っている状態にはなりませんが、それでも5割くらいは運転に頭を割く必要がありそうです

つまり、プロパイロット2.0によって運転から解放されるということは、ありません。でも、運転の負荷を減らし、危険から守ってくれるというのは十分に果たせそうです。また、高速道路でのプロパイロット2.0は、否が応でも車の近未来を見せてくれます。車が勝手に道路を、自動車を認識して、カーブを曲がり車間距離を詰めたり広げたりする様子は、一見の価値があるでしょう。

プロパイロットには、道路側の対応も必要だ

最後に実用面での懸念もメモしておきます。実はプロパイロット2.0では、運転サポートのため、道路上にあるあらゆる標識や表示を読み取っています。例えば速度表示の標識などを読み取ったなら、当然ですがその速度に自動車を調整します。これが実はくせ者なんです。首都高などを走ったことがある方ならご存じだとは思いますが、料金所のところ、だいぶ前からかなりの減速を指示されますよね。しかし、実際はそこまで減速している車は希で、むしろ減速したら危ないくらいの車の流れになっていると思います。でも、プロパイロットは標識を読んで正しく減速します。つまり、ちょっとだけ融通が効かないんですよね。

これは自動車が悪いというよりは道路の問題です。合流車線だって、合流にはほど通り速度制限がかけられていたりしますよね。これ、決まりと現実の折り合いを付けるのが人間の運転なわけですが、残念ながらまだ自動車には荷が重い作業です。ということで、道路標識側が実際に即したものに変えていく必要があるのではないかな?と思う次第でした。

 

のりおのまとめ

想像を遥かに超える、ギリギリ自動運転未満、サポート以上の機能でした。プロパイロット2.0はあきらかに未来を感じることができます。このタイミングで体験できて良かったな、と思いますね。マジで。

 

日産スカイライン プロパイロット2.0

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