まさにリュックの再発明。ひらくPCリュックは「ちょうどいい」の理想型
アブラサスがこだわり有るユーザーと数年間かけて製品を開発するプロジェクト「スーパーコンシューマー」。その新製品が、「ひらくPCバッグ」の延長線上として開発された「ひらくPCリュック」です。単にバッグを背負えるようにしただけでなく、まさに再発明的な特徴のあるリュックを、2週間ほど運用してみました。率直にいうと、これは「ちょうどいい」ビジネスリュックの完成形になっていました。
バッグをリュックにするという果てしない道のりから
今回紹介するリュックは、「ひらくPCバッグ」というベストセラービジネスバッグをリュック化しようというプロジェクトから生まれたものです。そもそもひらくPCバッグはものすごく便利でしたし、だからこそベストセラーになっていまでは電車に乗っても普通に見かけるほど。
そんな売れているバッグをリュックに。これ、いわゆる2WAYや3WAYを目指したのであれば大きな話にはなっていないのかもしれませんが、前身の「ひらくPCバッグ」は肩掛けという1WAYを究極にまで突き詰めた製品であったがゆえに、リュックというスタイルへの転換では、ただならぬ苦労をしたようです。まさに再発明。その苦戦の様子は以下にて公開されています。
スタートが3年前という時点で推して知るべし、ですよね。3年ってだいぶ長い。でもそれだけこだわって企画されているということですね。
さて、そうして生まれたひらくPCリュックをモニター用に1ついただいておりまして、今回、使い始めて2週間以上を経過しまして、いろいろと見えてきたとこがありますので、以下にまとめていきます。
かわるビジネスリュックとの違いは?
そもそも、ですよ。スーパーコンシューマーには、同じく いしたにさん×コグレさんプロデュースの「かわるビジネスリュック」が存在します。実は僕、こちらの超ヘビーユーザーで、製品が手元に来てから、平日・休日含め、おそらく使わなかった日は両手で足りるくらい。会社へ行く時、取材に行くとき、子供と遊びに行くとき、なんなら海外へ行く時でさえ、このリュックを使い倒しています。なので、既に1度修理をしたり、代替わりをしたりを経ているんですね。おそらくですが、時間的にもこの製品を最も使っている人間のひとりでしょう。
ほぼ365日「かわるビジネスリュック」を使ってみてわかったことと使い方
そんな人間のもとに「ひらくPCリュック」が来たら。最初に感じたのは「これ、容量足りるのかなあ…乗り換え/使い分けってできるのかなあ」でした。
そもそも「かわるビジネスリュック」は驚異的な収納力と荷室を区切るという発想によって、365日どのような要求や突発的な荷物にも対応出来るような、いわゆるオールラウンダーです。だからこそ、僕は毎日毎日毎日毎日、このリュックを背負い続けたのです。
さて、では2週間経ってどうなったか。
実は、立派に使い分けをすることができるようになりました。というか、むしろ平日に「かわるビジネスリュックはオーバースペックだったんや…」という当たり前のことを痛感するようになりました。
まずですが、ひらくPCリュックは想像以上に荷物が入ります。これはひらくPCバッグ時代からわかっていたことですが、リュックになって上部が立体化したことにより、たとえば毎日の必須アイテムである折りたたみ傘、財布、カード入れ、名刺入れ、タオル類、はおれる上着、カードキーにモバイルバッテリー、さらにはデジイチ(ミラーレスのこともあり、フルサイズのこともある)まで、すべてが入りました。構造としては、従来の△型バッグにもうひとつ▽型のフタが重なっている感じで、見た目以上に収納力があります。考えたら、いつもの自分の携行品って「ひらくPCバッグ」時代からあまり変わってないので、全部入るのは当然ですよね。
しかもですよ…このひらくPCリュック、使ってみて初めてわかる、横ポケットの多さ。なんじゃこりゃ〜!ってくらいに小物が収納されていく!そしてシリーズ恒例の間仕切りも三角形になりより使いやすくなっていて、カメラ入れを作ったりするのにとても便利。よくできている。
上部のメッシュ部分は思いのほか収納力がないため、ここにはカードキーや鍵を入れることに。また新機構のパーカーポケットは、だいたい2〜3台を持ち歩いているスマホを入れることにしました。これが電車通勤にはとても便利で、リュックを前にしたとき、左右どちらからでも開けられるのが異様に便利。加えてマチというかポケットに深さをつけてあるため、仮にチャックを閉め忘れても中身が簡単には落ちません。今のところ3回ほど開けっぱなし事件を起こしてしまいましたが、1回も中身(スマホ)が落下することはなく、難を逃れています。いやあこれは本当に助かった。
こんな感じで貫通しています。パーカーにあるポケットみたいだから、パーカーポケット。よく言ったものです。
パーカー部分のジッパーは邪魔にならないギリギリの大きさを追求したようで、邪魔にならないけど、開けにくくもない、ということでバランス取れていました。こういうところは憎いですねえ。
ジャストサイズを極めるリュック
さて、2週間くらいつかっていくと、だんだんとリュックの特徴が見えてきます。そして、かわるビジネスリュックとの使い勝手の違いもわかってきます。地味に感じるのが、ひらくPCリュックは「チェストベルトが搭載されていない」という仕様であり、哲学であるということです。この点、気になっていしたにさんや南さんに聞いてみましたが「あると中身を入れすぎてしまうから」とのことでした。これはつまり、ひらくPCリュックはかわるビジネスリュックとは違い、ある程度の収納で、中身の精査をユーザーに求めているということです。
ということはですよ!まず「ひらくPCリュック」と「かわるビジネスリュック」の適正の見分け方としては「とにかく(未来に向けたバッファも含め)荷物をたくさん収納したいかどうか」という部分があるように思えました。
たとえばですが、「かわるビジネスリュック」は通常の携行品を入れてもかなり余裕があるのですが、「ひらくPCリュック」はペットボトル1本+αくらいの余裕しかありません。そもそも僕の携行品が多すぎるのが原因ですが、これは追加の荷物を入れることを想定しているというよりは、毎日の通勤通学で必要なものを入れて動くリュック、という想定だなと感じます。だから、かわるビジネスリュックとは異なり、急に紙袋サイズの荷物が発生したとしても入りません。バッファはそこまで期待しない方がいいし、そういう使い方ではない。でもまあなんだ、それはかわるビジネスリュックが異常なのかも(笑
ふしぎと重さを感じない構造
ちなみに客観的な意見として、「かわるビジネスリュック」は「リュック大きいですね」と言われることが多かったんですが、「ひらくPCリュック」はそういうことをまだ言われていません。形状的な差かもしれませんが、背負った時に周りが感じる印象は、想像以上に違うのかもしれませんね。余談ですが、上記は発表会の時の様子で、モデルさんが背負っています。大きさやデザイン面など、ブランドとしてアピールしたい気持ちが伝わってきていました。
そういえば、背中の部分が若干湾曲する特殊な形状をしているのですが、これが背中の当たり心地をマイルドにしてくれているのだとか。確かに腰の部分に後述する自立のためのターポリン底面が当たるんですよね。この湾曲がなかったらだいぶ気になるのかもしれません。現状でも気にならないとは言えませんが、2日で慣れました。
もちろん自立する。ひらP機能は踏襲している。
なお、ものすごく当然だけど見逃しがちなポイントとして、ひらくPCバッグの利点はほぼ全て満たしている、ということが言えそうです。
例えば小物入れとして便利な外側のパンチングポケット。細かいですが、ジッパーはリュック用に調整されていて感心しました。
背中部分にPCがスッと入るのも同じですね。リュックと言うことで簡単に飛び出して落ちないよう、ベルクロのストラップがついており、落下を防いでくれるのはかわるビジネスリュックと同じです。
自立する三角形機構。何気に自立するリュックって少ないので、これはけっこうなパラダイムシフトです。ちなみにかわるビジネスリュックも結果として底面が平らなので自立していましたが、このひらくPCリュックは元々底面をターポリンで作っているほどに自立前提の設計です。厚さも確保されているので、安心して自立させることができますね。
そういえばひらくPCバッグで要望としてよく上げられる持ち手が付きました。使い勝手を良くしつつも形状が歪まないよう何度もテスト制作を重ねて付けられたということで、この持ち手は使い勝手が良いですね。かなり本体を重くしても型崩れしないのはさすがです。
のりおのまとめ
ということで、なんとも「ちょうどいい」具合につくられたリュックです。このバランス感はすごいなと。
そもそもですが、もともとひらくPCバッグに満足していたユーザーは、このリュックも当然な柄にしっくりくると思います。しかし、単純にリュックにしただけではなく、3年もの時間をかけていわば「再発明」された完成度というのは、感じてもらえる製品にしあがっているのではないかなと思われました。このあたりはスーパーコンシューマーの製品に関する一貫した哲学を感じますね。信用できるブランドってこうやって生まれるんだろうな。
それにしても、ちょうどいい。ほんとうに。
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