チェコの最新観光世界遺産!たった2軒しかない藍染は祖父と孫娘が紡ぐブループリント
いまチェコでも最もホットな場所…それは、この年末に世界遺産として認定された場所なのは間違い無いでしょう。それがこちら、Strážnický modrotisk(こちらはブランド名?会社名は ARIMO S.R.O.) ともう1軒しかないという藍染めの工房です。祖父と孫娘が伝統と革新を絶妙なバランスで進めるこの工芸は、これからのチェコでも注目の場所であり、お土産となるでしょう。
なお工房の見学には申し込みが必要(有料)ですが、世界遺産になったことで今後変更があるかもしれません。小さい工房ですので、温かい目で見守ってあげてください。
チェコの伝統工芸「藍染め」
世界遺産に認定されるほどの伝統工芸であるこの藍染め(現地ではブループリントと呼ばれてました)ですが、実は手作業で行っているのはもはや2軒しか残っておらず、そのうちの1軒がこちら、Strážnický modrotiskです。
場所は少々マニアックでして、ストラージュニツェという小さな街にあります。交通手段としては…鉄道かレンタカーになりますかね。
工房は店舗を兼ねておりまして、中に入ると壁一面の藍染め!とてもかわいいデザインで、一気に心が持っていかれます。しかも安い。むちゃくちゃ安い。安心してください、クレジットカード使えますよ。
この日は買い物を後に回しまして、まずはまさに今染め物作業をしているという現場を見学に行きました。
祖父と孫娘の染める藍
共産主義時代の名残がある建物の奧に進みますと、いくつかの部屋をぶち抜いた横長の部屋に到着しました。ここがまさに藍染めの工房です。
工房では祖父と孫娘さんが粛々と作業をされていました。聞けばこのお孫さんは、デザイナー志望として勉強をしており、一度は海外へ出ようとしたのですが、母親のヒトコトがきっかけで藍染めを体験してみたところ、藍染めにはまってしまい、そのまま工房へと就職したそう。その際、単にいままでの伝統を引き継ぐだけでは無く、デザイナーとして勉強してきた内容を生かして、新たなアプローチにも挑戦しはじめているとのことで、新しい製品を生み出すきっかけになっているようですね。
このかわいいエプロンやTシャツなんかはそのチャレンジの一環だそう。
というか、この工房の空気の凛としていること…。一面がガラスでとても明るい室内では、おじいさんが特別な薄緑色の薬剤を擦る音と、お孫さんが布に寸分の狂いも無く型を使って薬剤を塗布する音だけが響きます。
静謐。そんな言葉が似合いそう。
ここまでで、もしかしたら鋭い方はピーンとくるかもしれません。そうなんです、この工房、ファミリーでやっているのです。しかも、1904年の創業当時から。これはつまり、共産主義時代に手を出されなかったということなんです。あまり厳しい指導などはなくそのまま家族経営が続けられた、ということで、たぶんこれは「ラッキー」な事例です。共産主義時代や接収時代を超えて伝統を続ける、というのはここチェコではとても難しい事なんですね。
日本の染め物と同じ技法に驚く
藍染めの方法は日本の友禅染に似ており、先に薬品の塗布で染まらない部分(緑色の部分=防染部分)を作ってから染めていました。この薬品が門外不出なんだそうです。
この日は前述のとおり、お孫さんが一心不乱にプリント型に薬品をスタンプしていました。
型の四隅には印がついていて、ずれることなくプリントパターンを作っていけるそうです。
もうね、この所作を見ているだけで半日くらいは過ごせそうでした。
型も100年を超えるものがたくさん残されていました。伝統的な型と、革新的な型と、これからは混在していくのでしょうね。一度型を作るとその後はなんどでも染められる、というところも友禅初めを思い出します。遠く離れた日本とチェコで、同じような技法が使われていたことになんだか感動しました。
なお個人で型を作ってもらうこともできるそうですが、世界遺産になった後は殺到しそうで難しいかもしれませんね。
こちらのおじさんが唯一の家族外従業員の方で、染めを担当しています。
クレーンで布を吊り下げ、5分つけては取り出して5分乾かし…を5回くりかえして完成品となります。
取り出した瞬間は濃い緑色なんですが(↑)、空気に触れて反応することでだんだんと藍色に変わっていきます(↓)。
この仕組みは日本でもチェコでも同じなので、本当に不思議です。誰かが両方の地域に伝えたのかなあ。
仕上がると、先ほどの緑色でスタンプしたところが、このように白く抜けます。手作業で正確なプリント柄が作られる…これはなかなかグッときますね。
最後に仲良く並んでいるところを1枚撮らせてもらいました。とても幸せそうに製品を作るお二人の姿が印象的でした。
のりおのまとめ
これはもっとチェコのお土産として認知されてもいいんじゃないかな?と思わされました。日本で人気が出そうなデザイン・製品がたくさんありました。その証拠に、今回のブロガーツアーでもっとも参加者に購入されたの、ここじゃないかな。
これから来るチェコの観光向け産業ナンバーワン、かもしれません。
重要な追記(2020/01/10)
こちらのStrážnický modrotisk(ストラージュニツキー・モドロティスク社)は日本のヴィオルカ社と独占販売契約を結んでおり、2015年5月より同社が日本正規総輸入元として、販売および広報活動などを行っているそうです。こちら同社よりご連絡をいただきましたので、今回紹介した製品の国内流通の相談先として、以下連絡先を含めて追記いたします。
以下は同社からのコメントです。
「ヴィオルカはストラージュニツキー・モドロティスク工房と 2015 年 5 月、日本国内における独占販売契約を締結し、日本正規輸入元として、日本国内におけるチェコの藍染め生地及びその生地を使った製品の独占販売を一任されており、チェコの藍染めを日本人の視点で見つめ直した作品を制作し、伝統の藍染めを今の時代に生かすことに取り組んでいます。
チェコの藍染め ヴィオルカ」
ということで、製品についてのご質問などがある場合は上記までどうぞ。
Strážnický modrotisk / ARIMO S.R.O.
J. Skácela 1547, 696 62 Strážnice, Czech
SpecialThanks
今回の旅行は、航空券、宿泊、移動費、そしてほとんどの食費をチェコ政府観光局に負担していただいております。 Czech Republic –
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