カヴァラン蒸溜所@台湾 世界でも希な亜熱帯にある新興シングルモルト

台湾ili(イリー),イリー,ウイスキー,カヴァラン,台北,台湾,蒸溜所

高速翻訳機「ili(イリー)」をモニター利用する旅も最後のスポットへ。個人的に、台湾に来たらここへ行かなくては…と密かに計画していたのがこちら、世界にも珍しい亜熱帯のウイスキー蒸留所「カヴァラン」です。

台北からカヴァランへ行こう!

カヴァランのあるギランへは台北からバスで1時間ほど。台北のバスセンターからかなりの本数のバスが出ていますので、アクセスはわりと良い方です。ちなみにKamalan(カマラン)線にYilan(ギラン)があって、Kavalan(カヴァラン)蒸溜所はそこにあるという難しい感じです。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

実は事前にバスのチケットの購入方法を下調べしたんですが、どうしてもこのギラン(イラン?)の発音がわからず…現地の表記を紙に書き、イリーで「ここへ行きたいです」と伝えたところ、無事にチケットが購入できました。もちろん「往復でお願いします」も伝えていて、往復のチケットです。帰りのチケットは空欄があって、乗るときに書き込むシステムでした。合理的。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

さて台北のバスセンターは大きなビルになっていて、今回のギラン行きバスは2Fから乗り込むとのこと。エスカレーターで上にあがると…まずは見たことのあるロボットがお出迎え。こんなところにまで…!

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

バスセンターの構造は日本でも見慣れた感じで、福岡のそれにかなり近いですね。チケットに番線も書いてあるので、間違えることは無いでしょう。イリーで「この乗り場であってますか?」聞いたら、OKとのこと。うんうん、イリーは細かい不安を打ち消すのにとてもいいね。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

バスが来たらチケットを見せて乗り込みます。もぎりはこのとおり豪快(笑

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

座席は自由(だと思う=何も言われなかった)。Wi-Fiも普通にあります。

バスは台北のバスセンターを出ると、もうひとつの台北の停留所「科学大学前」に寄りまして、あとは基本的に高速道路です。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

途中若干の渋滞もはさみつつ、1時間ほどでこの景色。な、なんだこれは。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

もちろん見た目の通り、これは水田です。台湾では稲が伸びる前から水田に水を張っておくため、このような鏡面景色が楽しめるわけですね。そしてギラン地区が水の豊富な地域だということも、これでわかりました。蒸溜所に適している場所なんですねえ。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

高速から降りるとほどなくしてギランのバスターミナルに到着。ここからカヴァランの蒸溜所へは、バスもありますが、タクシーで行くのがいいですね。バスだと本数が少ない上に、最寄りからそこそこ歩くみたいです。

バス停にはタクシーがたくさん止まってますので、ウイスキーとか、カマランとかいえば通じます。もちろんイリーがあるのなら「蒸溜所へ行きたい」「ウイスキーの工場」などということばを翻訳すればいいでしょう。ここに止まっているタクシーなら、誰でも知っている。それがカヴァラン蒸溜所です。

バス停からタクシーで15分〜20分。台北からは実に1時間半ほどで、念願のカヴァラン蒸溜所へ到着です。

 

カヴァラン蒸溜所とは

ここですこしだけ、この蒸留所についてお勉強。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

この蒸溜所を運営しているのは、台湾を代表する飲料メーカーの「金車威士忌酒廠」で、このギラン地方の先住民の呼び名「クヴァラン族」にインスピレーションを受けて、カヴァラン蒸溜所という名前をつけたそうです。製品リリースは2008年で、2010年あたりから連続してウイスキーのコンペティションで最高金賞やそれに近い賞を受けており、その質の高さがうかがえます。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

カヴァランがおいしい理由は諸説ありますが、もっとも言われているのが、その蒸溜所がおかれた風土気候。というのも、スコットランドでうまれたウイスキーは、通常、寒いところで作ることを念頭に置いています。日本でも北海道(余市)や山の上(白州、山崎)に蒸溜所がありますよね。寒い地方でじっくりと樽に寝かせ、10年〜30年ほどの時間を経て出荷されるのがウイスキー…という認識が、世界中全てのモルト愛好家にあったと思います。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

しかし、そんな印象を覆したのがカヴァラン蒸溜所です。なんせこの蒸溜所、沖縄よりも南にあります。ほとんど石垣島くらいの緯度で、名実共に世界で(圧倒的に)赤道に近い蒸溜所なわけです。結果はどうなったか?まず、熟成が圧倒的に短時間で済むことがわかりました。通常であれば10年以上かかるような熟成感が、たったの数年で得られてしまったのです。これはウイスキー蒸留所にとって大変大きなことで、なぜならウイスキーという産業において、蒸溜所が建設され創業を開始してから、製品ができるまでの数年間というのが最も厳しい時間になるからです。稼働はするけど売るモノがない。下手をしたなら10年以上、耐えて耐えて、樽の中のウイスキーに全てをかける…というのが常識だったんですよ。だから、このカヴァランの高効率性は多の蒸溜所では得られない、唯一無二のものといえます。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

さらに味わいでも大きな発見がありました。一般的なウイスキーを寝かせる理由は、原酒に対して樽(バーボンやシェリー)のもつ個性をゆっくりと移していく意味合いもあるわけですが(そのため透明な原酒にあのような色が付き、味と香りが華やかになる)、カヴァランで作られたウイスキーには、想像を超えるほどの樽エッセンスが移っていました。とにかくフルーティーで濃厚。特にマンゴーっぽい甘酸っぱさが特徴的で、「カヴァランの味」というものを最初から作ることに成功してしまったんですね。

これ、マッカランでいうなら、質の良いシェリー樽で20年弱寝かせてやっと得られたようなテイストが、たったの10年ほどで得られたという、まさに想像を超えたウイスキーが登場したということで、業界はこの南国の蒸溜所を大きな驚きとともに迎えたんです。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

もちろん台湾という国でウイスキーを作るにはそうせざるを得なかったわけですが、事実は小説よりも奇なりと言いますか、世界初の試みは世界でも類を見ない個性をもったウイスキーを生み出しました。

そんな革命的なウイスキーが、カヴァラン蒸溜所で生み出されているんです。

 

見学コースは淡泊。しかし本当の楽しみは「マイボトルづくり」

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

さて、まずは蒸溜所に来たからには、見学ですよね。カヴァラン蒸溜所では基本的に訪れた各人が自由に見学を行うスタイルです。受付なんかも不要というかなりフリーダムなシステム。大丈夫なの?と思いますが、その理由は後ほどあきらかになります。ちなみにガイドツアーも1日に何回か行われているので、詳しい話を聞きたい時や、時間に余裕がある場合は参加するといいんじゃないかと思います。そのガイドツアーですが、20名以下なら予約は不要。入場料もなし。20名以上の場合は予約が必要です。Webによれば最大100人までとのことです。

営業時間をそのまま引用しておくと

Opening times: Monday-Friday: 09.00am-6.00pm;Saturday-Sunday:09.00am-7.00pm.

となっておりますのでご注意を。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

早速見学に向かいましょう。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

先の通り、見学コースには自由に入れます。これはなかなかないパターンなんですが、その理由は…完全に見学コースと蒸溜所のゾーンが分けられているから、なんですよね。そのため、残念な事に蒸溜所っぽいあの香りや湿度、熱気はちょっと薄いです。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

糖化槽。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

ポットスチルもガラスの向こう。あの熱気が好きなんだけどなあ。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

雑菌の繁殖しやすい熱帯地域でやるには仕方が無いのかもしれませんね。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

なお僕はフリー見学ですすみましたが、ここは見逃せないところでした。この貯蔵庫、なんだかちょっと変です。わかりますか?

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

なんと樽が縦置きなんですよ。通常、樽って横置きですよね。理由はわからなかったんですが、これは珍しいなあと思いました。

そんなこんなで、蒸溜所の行程見学はサラッと終了。だいたい30〜1時間くらいあれば十分すぎるくらいです。意外とあっさりですが、大丈夫、実はカヴァラン蒸溜所に来た本当の目的は、次の体験にあったのです。

 

DIY モルトづくり体験

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

実はこのカヴァラン蒸溜所では、個性の異なる原酒3樽の中身を自由にバッテッドして、自分だけのシングルモルト・カヴァランを作ることができるという、なかなか通好みの体験をすることができます(要予約)。参加費用は1,500台湾ドル(日本円で5,500円くらい)とそこそこしますが、カヴァランの原酒を3ショット飲める上に、300mlの自作カヴァランが1本もらえますので、妥当な価格かなと思います。なにより後述するディティールの仕様がね…。

さて、予約時の連絡では催行15分前には現場で受付をしろ、とのこと。時間的にギリギリだったんで、けっこう焦ります。海外だとサクッとキャンセルされちゃったりしますからね…。

まずは受付。わかりにくいんですが、建物入ってすぐ左にある売店でおこないます。ここでお金を支払いましょう。さすが観光地、クレジットカードが使えます。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

次に2Fにあるカフェの一番奥、DIYと書かれた部屋に向かいます。あーギリギリだ、と思ってドアをあけようとすると…鍵がかかっています(笑

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

そのまま待つこと10分。予定の時間になっても蒸溜所側の人がきません。この時点で、予約がうまく通っていない可能性を疑いますが、下でお金を払っているのでそれは無いはず…。心配になって、カフェの店員さんにイリーを使って「予約をしているのだけど、人がこない」ということを伝えます。ほんと不安な時のイリーは素晴らしい働き。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

そのまま待てと言われてさらに待つこと5分。やっと担当者が来てくれました!なんと日本語が話せる、日本人がDIYに参加したときの特別インストラクターMINAさんです。

余談ですが、MINAさんはイリーのことを知っていて興味津々。なんでも中国語→日本語のイリーは台湾でとてもメジャーなガジェットで、かなりの人が認知しているんだとか。他の場所でもあんまり不思議に思われなかったのはそのせいか…!

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

さて、まずはMINAさんからDIYの説明を受けます。テイスティングしつつメスシリンダーを使ってまず個性的な3つのオリジナルモルトを作ります。その3つの中でも最も理想に近いものを次のベースとして、微調整をしながらゴールを目指します。短時間で最大3ショット飲むことになるので、飲み過ぎに注意とのこと。確かに…。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

チェイサーとして仕込み水も用意してあって、こういうのはいいですね。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

ということでテイスティング&バッテッド開始。イリーの話をMINAさんとわいわいしつつ、進めます。なんでもMINAさんは日本のドラマが好きで日本語を勉強したんだとか。いつもは売店担当だけど、日本人向けガイドが必要な時にスポットで起用されるんだそう。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

さて、わいわいと試し続けること約30分ほど。ついに理想のモルトが完成しました。3種類それぞれの比率を書いて、それを800mlに当てはめ、樽から直接必要分をそそぎます。これはけっこう、というか、かなり嬉しい。なかなか樽から豪快にそそぐってないですからね。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

最後に瓶詰めして、封をして、これも涙が出るほど嬉しい「マスターブレンダー」のところに自分の名前を書いて、箱につめて完成です!すごい、このディティールの仕様は本当に最高!5,000円出す価値、絶対にある!!!

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

うーん、いい体験。こういうのはむしろ本場スコットランドなどでは考えられないので(あったらすみません)、台湾などウイスキー新興国ならではなかーと思いました。

 

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅DIY後は1日に1回だけ実施される(!!!)という試飲にも参加。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

スタンダードなカヴァランを1ショット飲めるという少し寂しい試飲。有料でもいいからいろいろ飲ませてくれたら、買い物もしやすいんだけどな。

なお残念ながら蒸溜所限定のモルトも少なく、買い物はおしゃれな試験管入りのテイスティングセットのみを購入。ちなみにカヴァランからは帰りもタクシーを呼ぶ必要があるので、できれば売店か試飲の段階でお願いしておくと良いですね。バス停のところからくるので、20〜30分はみたほうがいいです。

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

名物という噂のアイスが無いな…と思ったら、なんと売店の外で売ってました。これは罠。タクシーの時間も考慮してパスしちゃいました。台湾はタクシーの中でものを食べちゃ行けないので要注意。

しばらくすると呼んであったタクシーが到着して、バス停まで。バス停からは往復チケットでサクッとバスに乗りまして、1時間後には無事に北京バスターミナルへ戻ることができました。帰りはほとんど寝てましたね(笑

 

のりおのまとめ

KAVALAN 噶瑪蘭 #ili旅

ライフワークである蒸溜所めぐり、台湾を攻略できてよかったなあと。イリーさまさまです。ちょっとした不安やストレスから開放してくれるイリー、いいですねえ。

なお余談ですが、台湾の空港だとウイスキーのボトルは手荷物での機内持ち込みNGとなります。預けるしかありませんのでご注意を。

エアロプレインの世界蒸溜所シリーズはこちらから。

蒸溜所

 

カヴァラン蒸溜所

Kavalan Whisky

DIYの予約はこちらから。
Kavalan Whisky

 

イリー

ili(イリー)- 瞬間オフライン音声翻訳機

 

イリーモニター旅おことわり

今回の旅では、イリーのモニターツアーとして、イリーを提供するログバー社より、渡航費・宿泊費を負担してもらっています。規定から溢れた宿泊費や現地での飲食交通費は全て自腹です。記事の編集も受けておりません。