キミはカルピスの由来と製造方法について語ることができるだろうか #発酵のチカラ
先日、カルピスさん主催のイベント「『発酵のチカラ』ミーティング@カルピス本社」に参加してきました。イベント前には「えっ、なんでカルピスが発酵??」という謎もありましたが、イベントに出てみてそのあたりスッキリしたので、なかなか良かった気がします。
カルピスと僕
さて、今回なぜイベントに参加したのか、と問われれば、まさに「カルピスが好きだから」としか言いようが無い僕であります。
そもそも三島に住んでいたこともあって、たいへん冷たくて美味しい水道水が飲める環境にありました。そんな環境にいると、カルピスが本当においしいのですよ。基本的に乳製品が好きな僕ですが、中でもれん乳、カルピス、ヨーグルトは3大ドはまり製品。特にカルピスはなかなか毎日飲むというわけにいかないので、子供心にも高級品的な刷り込みがありました。当時は夏にお中元でガラス瓶に入ったカルピスをもらうのが楽しみで、年によってはオレンジ味やグレープ味が混ざっていたりするのもまた、嬉しかったものです。
さて、そんな価値観をぶっ壊してくれたのがご存じカルピスウォーターですよね。なんと、あのカルピスが毎日でも飲める!!!という、発売当初のあの衝撃は今でも忘れません。「あっ、これが標準の味なんだ!」というのも驚きでしたね。
時は流れて、今ではカルピスを常備(むしろ買いだめ)するようになった我が家。昨年末からは「いちごカルピス×牛乳」の究極コラボに目覚めまして、例年にないほど消費量が高まっているところでのイベントでした。
そんなわけで、引っ張りましたが以下イベントの内容です。
カルピスは発酵の会社である
さて、前述の通り今回のイベントタイトルは「発行のチカラ」です。なぜ発酵!?
講師はカルピスの江尻さん。
まず最初に投げかけられたのが、この質問です。そういえばカルピスがどうやって作られているか、全くと言っていいほど知らないぞ!?
なんとカルピスは、僕らが酒造やウイスキー蒸溜所で見て来たあのポコッポコという酵母の発酵と同じ流れで作られているのです。なんだって…。
さて、そんなカルピスのルーツは1902年にまで遡ります。創業者の三島海曇氏は、お寺の子供として生まれつつもなかなかのビジネスマン。25歳の時にビジネス(軍馬の調達)のため中国、そしてモンゴルに渡ります。
そこで体調を崩した海雲が出合ったのは、モンゴル族の不思議な飲み物でした。
それから15年後。日本に戻る海雲は、日本の人々をあの飲み物で元気にしたい!と考えました。
それからさらに4年の月日をかけて完成・発売されたのが、カルピスの原型です。1919年7月7日、七夕のことでした。
そのカルピスの研究で得られた乳酸菌の知識をもとに、カルピス社は今日まで「心と体の健康をサポートする商品の開発」を続けてきているのでした。
…とスライドでサクサクと説明があったのですが、もうかなりの衝撃的な内容で満載です。なにより、カルピスのルーツがモンゴルの発酵飲料「酸乳」にあったというのが驚きです。これって有名なアイラグのことなんですかね?
とにかく、そんなこともあっての「発酵のチカラ」だったわけですね。
カルピスの作り方を見てみよう
さて、ではカルピスの場合、どうその発酵を利用しているのでしょうか?
まずは生乳を脱脂粉乳とバターに分離。もちろんこれが有名な「カルピスバター」です。うまいよね、カルピスバター。
脱脂粉乳にはカルピス菌を加えます。これが発酵の秘密なわけですねえ。
こちらカルピス菌の接写。実は複数の酵母と乳酸菌群を「カルピス菌」と呼んでいるのだとか。なるほどねえ。
ちなみに会場では実際のカルピス菌を顕微鏡で見る、なんてことも行われました。
さて、この菌の中でも乳酸菌のおかげですっぱい成分が誕生します。これが1次発酵。カルピス特有のあの酸味ですね。
さらに酵母の発酵で香りと風味が。こちら2次発行。なるほど、役割分担されているわけですねえ。
今回のイベントでは、その発酵の段階別に試飲がありました。
なんとこれ、社員でもほとんど飲んだことがないくらいに異例というか、貴重なものらしいです。たしかに1次発酵の原液は酸っぱく、甘くないマッコリみたいな感じでした。2次発酵まで進むとかなりカルピスっぽかったですね。
そしてこれが驚きのスライド。そう、カルピスはモンゴルの酸乳よろしく、ずっと継ぎ足し継ぎ足し製法を守っているんです!すでに96年受け継がれてまして、秘伝のタレみたいな感じですね。確かにこれは一朝一夕では真似できないですなあ…。
ほか、特に発酵による香りとリラックス効果などの研究が紹介されました。ラットの実験では、かなりのリラックス効果の存在がわかってきているようです。
リラックスしたラットは多少不安な道でも平気で通過するようになるそうです。なるほどねえ。
こういったことをカルピスが研究してるってのは知りませんでした。
カルピス社内を少し見学
さて、せっかくカルピス本社にきたということで、ここからは見学タイム。
先ほどの研究の流れでカルピス社内に作られたのが、こちらのリラックスルーム。酵母の出す香り成分を充満させた部屋は、重要なプレゼン前に立ち寄る社員が多いのだとか。酵母の発酵する香りは懐かしい感じ。ビール工場や蒸溜所とか、おがくずを扱う製材所なんかを思い出しましたね。
こちらのブースは官能試験場。室温24度、湿度55%に保たれた部屋で、甘味、塩味、酸味、苦味、旨味の判別試験を行います。
本来は何分もかけてやるテストを3分でインスタント的に実施した結果。及第点で、官能試験官になれる可能性があるとのこと。これは地味に嬉しい(笑
これ、やるとわかるんですが、本当に難しいです。
こちら、懐かしのパッケージ。これがお中元でくると嬉しかったなあ。
2代目パッケージから採用のこの水玉は、七夕発売にちなんだ「天の川の星々」をイメージしているんだとか。
ちなみにこちらが初代パッケージ。いまからは想像も付かないほどハードな感じですが、当時は高級品で滋養強壮のために飲まれていたんだそうです。
台湾パッケージ。これでカルピスって読むんだなあ。
ツアーの最後は、藤城清治さん作の「愛の泉」。カルピス本社のために作られていて、カルピスを飲む妖精が描かれています。
驚くことに、切り絵でできています。すごい…。
こんな感じで社内見学ツアーは終了。
最後に、全てのレシピにカルピス原液を使ったカルピスづくし弁当を食べ、発酵のチカラに期待することをディスカッションしてイベントは終了しました。ちなみに、上記のお弁当が美味しかったので、さっそく我が家でも漬け込みダレにカルピスを使ってみました。お肉がやわらかくなっておいしかったですねえ…。
のりおのまとめ
最初はカルピスと発酵のイメージが結びつかなかったので心配でしたが、終わってみれば発酵企業カルピスということで、納得感のある内容でした。
個人的にはもっとカルピスそのものに突き詰めたイベントにも参加してみたい感じです。次回にも期待しちゃいますね。
発酵のチカラについては、特設サイトのコンテンツが充実しています。