盆栽美術館の「貴重盆栽展」は本当に日本のトップオブトップ盆栽の集いである
いつの間にかハマってしまった盆栽の聖地といえば、大宮にある盆栽町と、盆栽美術館だろう。先日は大盆栽まつりが開かれた彼の地で、現在開催されているのが「貴重盆栽展」という、名前だけでも凄そうな企画展。盆栽美術館にある盆栽だけでも「貴重」と思っていたのに、さらにその上があるのか!という驚きの盆栽を、今回特別に取材させていただきました。
貴重盆栽とは、こう決まる
貴重盆栽!?と言われると、いったいどんな盆栽かと思ってしまいますが、具体的には日本盆栽協会のかかげる以下の基準を満たした盆栽が、その認定を受けるようです。
貴重盆栽とは、芸術的に優れ、かつ樹形や樹種の学術的価値が高く、またその樹の由来や伝承が歴史的に貴重な作を永く後世に伝えるため、日本盆栽協会が認定した盆栽を指します
(昨年の貴重盆栽展の案内より)
申請式であるため、所有者の意向にもよりますが、おおよそ日本の重要な盆栽は登録されており、現在約1000鉢ほどが認定を受けているとのこと。中には偉人の愛した盆栽、大変に珍しい盆栽などなど、いわゆる盆栽界の「国宝認定」と思ってもらえれば間違いないでしょう。
そんな貴重盆栽の中でも「これは!」という約18点(注:前期後期9点ずつ)を一度に拝見できるのが、この貴重盆栽展なのです。
貴重盆栽の中でも最強クラスの迫力「一位」
一位とは、聖徳太子がいつも持っている札のようなものの材料となる木で、Japanese Yew とも呼ばれるもの。今作は、席主の道合勇多嘉氏が丹精込めて作り上げた盆栽で、その迫力は今回の展示の中でも最強クラスです。
紹介文には「シャリの造形が見る者を圧倒するほどの迫力を持つ一位の作。シャリの真ん中を通る赤褐色の水すいが樹の生命力の強さを感じさせる」とあり、やはり「力」を存分に感じることの出来る、大変に豪快な盆栽と感じました。
ああ、それにしてもカッコいい。頂点のトサカみたいな部分、どうやってできたんだろうか…。
他にも佐藤栄作元首相所蔵の盆栽や、あまりにもカッコイイ磯馴(そなれ)の鉢、珍しいブーゲンビリアの鉢など、確かにこれはすげえな、という盆栽が9点、そして元々盆栽美術館に所蔵されていたものも合わせ、10数点の貴重盆栽が一度に見ることができました。
ちなみにこちらは盆栽美術館所蔵である、貴重盆栽第1号という貴重なカリン。まさか、いままで貴重盆栽を見ていたとは知らなかった。実は盆栽も、戦国時代の焼き物みたいに、バックストーリーや所有者の変遷なんかがたくさんあったほうがいいのかもなあ。今回の貴重盆栽展では、そういった「新しい視点」を得られたような気がします。
常設盆栽もいつもながら見事
もちろんですが、常設盆栽も見事なものです。盆栽美術館は2週間程度で鉢のローテーションをしているため、いつきても飽きなくていいですね。写真が撮影できるスペースも増えてきていますから、ぜひカメラをお持ち下さい。
他にもたくさんの盆栽がありますが、この日の撮影可能スペースだけで留めておきますね。
のりおのまとめ
実は、冒頭のこの蝦夷松「千歳丸」は、世界的な盆栽師の加藤三郎氏の手によるもの。この貴重盆栽展が開催されるのも、氏の生誕にちなんで5月の第2土曜日を「盆栽の日」と制定しているからなのです。
気がつけば、盆栽美術館に訪れる人の姿も、昨年までよりグッと増えた気がします。スタッフの方によれば、やはり年々来館者が増加してきていて、海外の方に至っては倍増しているのだとか。若い人も増えてきていますし、2017年の世界盆栽大会@さいたま市に向かって、盆栽熱が高まってきそうな気運を感じました。
盛り上がれ、盆栽…!
ちなみに今回は取材ということで、撮影スペース以外も写真に収めさせていただいております。通常は撮影できる範囲に限りがありますので、ご注意を。それでもだいたい10鉢くらいは撮影できるはず、です。
第2回 貴重盆栽展
第2 回「盆栽の日」記念 貴重盆栽展
期間:平成27 年5 月8 日(金)〜5 月20 日(水)
場所:企画展示室
なお、期間中に貴重盆栽の入れ替えがあります。
(注:木曜日は休館日ですのでご注意を!)
DiscoverJapanが盆栽特集
タイミングよすぎてビックリした!
Discover Japan (ディスカバー・ジャパン) 2015年 06月号
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