バーユモト。三島の清流沿いに佇む奇跡的なクオリティのオーセンティックバー
2014/12/24お酒,静岡県(伊豆・三島中心)ウイスキー,バー,バーテンダー,モルト,三島,湯本
三島への愛が止まらないのりおです。
三島に帰ったときの唯一の難点といえば、ゆっくり飲みたいときのお店不足でした。できれば街中にオーセンティックなバーがあるといいなーと思っていたんですよ。
でもそれは僕の目が曇っていただけでした。なんと、10年前からあったんですよこの奇跡みたいな素晴らしい「バーユモト」は。
三島の街中にこんなに素晴らしいバーがあるなんて
もう最初にごめんなさい、するしかないんですけど、三島でバーと言ったら中田町の「奈良橋」くらいしか知らなかったんですよね。以前有名な女性のバーテンダーさんがいらっしゃった時に何度かおうかがいしましたが、最近は三島駅前に泊まることも多くて、そちらにほとんど顔を出すことも無く。あの有名な方も辞められてしまった?ようで、足が遠のいていました。
しかし!まさか!なんで!?ですよ。この素晴らしさはなんなんだ!?
少し奥まった通りの、さらに奥まったところにある完全な「隠れ家」仕様のバー。知らなければ近づくことさえないのでは。僕みたいに。
隣は民家だし、車止まってるし、近づいて違ってたら…と思わざるを得ないシチュエーション。よーくみると、金属のプレートには店名とポットスチルが。ここで合ってるのかな?
で、扉の前までいくと、視認できる「BAR YUMOTO」の文字が。ああ、間違ってなかった…と安心するのは扉の目の前まで来てからです。
扉が開くと、天国があった
重い扉を開け、少しの通路を歩くと、目に飛びこんできたのがこの光景。
あー。
不思議と京都や金沢のバーを思い出しました。あちらは屋内の一角にこうした景色を持たせていますが、こちらは完全に川沿い。このシチュエーションは、ちょっと嫉妬するな。
サンタ!?
大きな木材を2枚つなぎ合わせたカウンター中央には、2005年スタートの証。
この雰囲気だけで、すでに名店間違いなしじゃないですか。失礼だけど、ここ、三島だよね?まさか10年間もこんなに素晴らしいバーに気がつかないでいたなんて、自分が信じられなくなる。
モルトの品揃えも素晴らしかった
さて、気がつけばカウンターの先には大量のモルトが。モルトバーだったんだなあ…。ということで、オーナーの湯本さんと相談しつつ選んだのはこちら、CADENHEAD のプルトニー23年。都内のモルトバー、キャンベルタウンロッホ向けに作られたものとのこと。
プルトニーらしいフルーツ感もありつつ、力強さもありつつ。僕がプルトニーを好きと言うことを差し引いても、完成度高いですね。プルトニー好きなら飲んでおいて間違いなさそう。
次は少し変わり種ということで、Glenfarclasのカスクストレングス16年もの(左、1989-2005)と10年もの(右、1994-2004)を飲み比べ。
これがまた不思議で、10年もののほうが樽香を強く感じたり、16年もののほうが力強さを感じたりと、ブラインドテストだったらどちらが長期熟成が少し悩むな、という仕上がりに。写真を見ても、10年もののほうが色が濃く見えますよね。うーん、不思議。樽にも当たり外れというか、個性があるよなあ。これだからカスクストレングスは止められないというか。一期一会だからなあ。
個人的には、これを提案してくれる時点でもうこちらのお店を気に入りまくりです。
次は一休みということで、バーテンダー競技会で日本一になった湯本清美さん、つまりオーナーの湯本織衛さんの奥さんにカクテルを作ってもらいました。ベネットという作品。ギムレットにアンゴシュチュラビターズをたらしたものだそう。アンゴシュ…と舌を噛みそうなこのリキュールは、ほとんどこのカクテルともうひとつふたつにしか使われないのだとか。僕も初めて飲みました。
不思議な香りをまといつつも味はギムレット。さわやかな感じで、モルトの一休みには絶妙な感じです。さすがチャンプ…!
と思っていると気がつきました。そうだこの方、奈良橋(先述の三島市中田町のバー)でバーテンダーやってた女性だ!と。
聞けばやっぱりそうだとのこと。結婚を機に名前も湯本になったり、子供を産んだりでしばらく休んでいたものの、復帰されたのだとか。そうだったのか、ここは名良橋の流れも組んでいたのか。あの女性のバーテンダーさん、移籍しちゃったんだなあと思っていたので、これは嬉しい誤算でしたねえ。
うーん、これはもう三島に来たらここ以外に行く理由があまりなくなって来たぞ(笑
結局、連日行ってしまった
ということで、実は今回4日間も三島に滞在したのですが、連日こちらの「バーユモト」に通ってしまいました。
その間は…
ボウモア飲んだり
ポールジローを飲んだり(チェイサーは同ジュース)
60年代の貴重なモルトをいただいたり(三島なので都内に比べて恐ろしいほど安い!!!)
ウルトラ貴重なマッカランをいただいたり。1969- 40y のG&M謹製マッカラン。すげえ樽もってるなG&M!と思いつつ、もはやモルトの神に感謝しますレベルの完璧な味!なんでマッカランはこの味を保てなかったんですか!?と怒りさえ沸いてくる、凄まじい味。香り。
深い色に、レーズンや蜜を思わせる香り。ただただ上品な中に、しっかりと残る麦の風味。40年を超えてこの、この芯の太さはいったいどうなっているんだ?とにかく、味、香り、色全てがもう完璧に近い、最強のマッカラン、いや最強のシングルモルトの1本と言っても過言では無さそうです。ああ、そうだよね。マッカランはシングルモルトのロールスロイスだったよね。そうだよ、これは本当のビンテージロールスロイスだよ。
とまあ、あまりの衝撃に言葉を失っちゃうくらいにうまかった。何度も言いますが、ここ、三島ですよね?
ああ、どんなモルトでもいつかは飲み終わってしまうんだなあ…。ごちそうさまでした。
のりおのまとめ
店の佇まい、雰囲気、湯本さん夫婦の上品な接客、がんばる若手バーテンダーと、あまりのバーとしての自力の高さに衝撃を受けてしまいました。この10年間、僕はいったい何を見ていたんだろう。
この店のために駅前に泊まってもいい、そう思わせる店です。三島で飲むときに、もう迷う必要がなくなりました。いや、むしろこのお店に来たくて、三島にくる回数増えるかも???
なおチャージ料は700円。ドリンクは全てにおいて都内近郊よりも2〜3割は安い印象。値段じゃないけど、満足度に関わってきますよね。いやー驚いた。そしてありがとう。
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ただ、ただ素晴らしいオーセンティックなバー。ユモトなのでした。
著者プロフィール
2014/12/24お酒,静岡県(伊豆・三島中心)ウイスキー,バー,バーテンダー,モルト,三島,湯本
Posted by norio nakayama