絶賛「おれんじ食堂」は熊本から鹿児島の海沿いを優雅に食事しながら旅する列車
九州にはユニークな鉄道がたくさん走っていますが、その最たるもののひとつが、この「おれんじ食堂」でしょう。なんせ、電車に乗って景色を見ながら、フルコースの料理がいただけてしまうのですから!
ということで、2013年の夏に旅行したおれんじ食堂を紹介します。
その昔、列車、特に長距離を走る特急列車に食堂車がついているのは普通でした。
思えば、昔の長距離列車には食堂車が普通についていましたよね。ブルートレインしかり、新幹線しかり。しかし、いつからから食堂車はほとんど見なくなって、駅弁が主流となりました。
そんな中、食堂車だけで構成された列車を走らせてしまおう!というぶっ飛んだコンセプトがこの「おれんじ食堂」です。運営しているのは第三セクター方式の地方ローカル鉄道会社「肥薩おれんじ鉄道」さん。
Wikipediaによれば
九州新幹線新八代 – 鹿児島中央間の開業に伴い、九州旅客鉄道(JR九州)から経営移管された元の鹿児島本線八代 – 川内間の運営を行っている、熊本県や鹿児島県などの沿線自治体および日本貨物鉄道(JR貨物)が出資する第三セクター方式の鉄道会社である。
>肥薩おれんじ鉄道 – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/肥薩おれんじ鉄道
とのことで、まさに第三セクター、ですね。
そんな鉄道会社が生み出した、全便ほぼ満席!というすごい企画列車が、この「おれんじ食堂」なわけです。
終始、食。
この「おれんじ食堂」の面白いところは、出発から到着までの約3時間弱、食べっぱなし飲みっぱなしというところです。しかも料理はコースになっていて、温かいものがきちんと出てきます。
では、以下出発からゴールまでのおれんじ食堂をおいかけてみましょう。
おれんじ食堂は1号、2号、3号の3種類があり、それぞれ出発地や到着地、内容が異なるのですが、今回は昼過ぎに新八代発、夜に川内着の3号に乗車しました。
入線してくるおれんじ食堂。
かわいい車体です。
さっそく乗り込みます。車内は木目調の落ち着いた感じ。九州の鉄道は、素材感を生かしたものがおおいですよね。
ちなみにこの日は悪天候もあってか、わりと空いていました。ただし、2両あるうちの、隣の車両は満員です…。
というか、老人会のイベントに使われていました。そんなこともできるのか…!
最後尾には展望席もありますので、食後の語らいなども可能。
まさに「ぐるめ!」なロゴマーク。三つ星です。
こちらもおれんじ食堂のロゴ。おれんじに「R」が乗っかっています。
後部運転台には「肥薩おれんじ鉄道」のロゴマーク。全体的にかわいいデザインです。
後方車両には九州の物産を紹介するコーナーも。薩摩切り子などが棚に並んでいます。
トイレの案内はのれん風。車いすにも対応です。
座席はシックな感じですが、長時間座っていても疲れないタイプ。そりゃ、絶対に3時間くらい座りますからね。
車両間の仕切りものれん。食堂です。
変わってこちら前方車両のバーカウンター。ドリンクは全てこちらで作ります。
オリジナルドリンクの「しそっぷ物語」。その名の通り、紫蘇の風味ゆたかなドリンクです。お持ち帰りも販売中。
焼酎もかなり完備。
しばらく車内を散策です。
海側はテーブル、陸側はカップルシートになっています。
こちらメニュー(2013年夏)ね。
さて、車内探検していると、いつのまにかテーブルがセットされていました。ランチョンマットは滑り止めをかねています。海岸線沿いなので、カーブが多いですからね…。
なーんてわくわくしていると、突然の停車。あれ、川内まで直行のはずなのに!?
じつはこれには秘密がありました。もちろん途中駅から乗り込むことも可能ですが、この停車は「人を」乗せるためではありません。
なんとなんと、途中駅に寄りながら、その駅由来の名産を駅から積んで提供する。それがおれんじ食堂の正体だったのです。もちろん調理が必要なものは、列車の駅到着時間に合わせて調理され積み込まれるので、あったかいままでの提供となります。すごいシステム!
ということで、一品目は爽!トマトジュレ。八代駅で積み込まれた名産品です。
しそっぷ物語のソーダ割りも到着しました。いい色!
となりのホームには銀河鉄道コラボ鉄道。いろいろやっているんだなあ。
おつまみにちくわ。
天気は生憎でしたが、さすがのオーシャンビューです。時季によっては夕陽のタイミングになることもあるので、大変にドラマチック。
かと思えば田園風景にも。
そしてまた臨海へ。めまぐるしく景色の変わる地域ですね。
電車から見る風景って、なんでこんなに良いのだろう。
飲み物もすすみます。
気がつけば次の停車駅に。
カレーパンが運ばれてきました。出水市にお店を構えるパン工房麦穂の商品です。
おいしい。
くまモン電車ともすれ違います。
さあ、フルコースのはじまりです
さて、すでにいくつか料理の提供があったおれんじ食堂ですが、なんといままでのはコース外、おまけです。本当のコースは、ここから始まるのです。
トンネルを抜けると…
津奈木駅でした。
まずスープです。おっとこれもメニューに載ってない(笑
どれくらい食べ物が出てくるか、良い意味で未知です(笑
車内もだんだんとディナーの雰囲気に。
現在停車中の水俣駅では、大規模な積み込みが行われています。わくわく。
出発時には積み込みスタッフが見送ってくれます。
さてはじまりましたこの日のコース。まずは前菜3種盛り。
・水俣産夏野菜のカポナータ 生ハム添え
・長島産白身魚のベーコン 胡瓜の山椒和えと一緒に
・揚げ茄子の鶏味噌田楽風
です。
食事中にもいわれのある風景がくるたびにアナウンスが入ります。
2皿目は
・芦北/水俣で採れたしらすをかけたフレッシュサラダ
電車の中で想像以上に本格的な料理が出てくるので、けっこう、びびります。
こまめに停車するのも面白いですよね。駅ごとの風情があります。
3皿目。
・天草の海老と白身魚の焼きフラン
・甘いとうもろこしとマッシュポテト アメリケーヌソース
すでに明らかですが、基本的に地産地消の素材が使われます。
4皿目
・地元素材のパエリア
ワインが進みます…。
デザート
・季節のフルーツを入れたセミブレッド
と、ここまででコースは終了。コースはだいたい1時間弱ですね。そろそろ外も真っ暗。食べ物も終わって、景色も暗くなったなー…と思っていたところで、隣の列車から歓声が聞こえてきました。
なんといまから引き語りのコンサートが始まる模様。なんでもありだなこの電車!
オリジナル曲あり、リクエストによる懐メロあり。
最後にCDもくれました。地元のアーティストも応援しているんですねえ。これもまた、地産地消か。
九州を堪能しているうちに、川内へ到着
そんなわけで、イベントたっぷりな車内を楽しんでいるうちに
薩摩切り子の郷である
鹿児島県に。終着駅は川内です。
おれんじ食堂、すばらしい「移動型レストラン」でした。
のりおのまとめ
このおれんじ食堂を僕以上に楽しんでくれたのは妻でした。
地産地消のおいしい料理を食べながら、電車で旅をする…。単なる「移動」ではない電車での旅行はとても新鮮で、大変な満足感を感じることができましたよ。
九州新幹線ができた今、熊本から川内〜鹿児島はほぼ「ひとっ飛び」な時間で移動できてしまいますが、こうして遠回りをしながら、目と舌を楽しませるのんびり旅も良いものです。
うん、九州は本当に電車が楽しいね。
関連リンク
>肥薩おれんじ鉄道「おれんじ食堂」ORANGE RESTAURANT EXPRESS
http://www.hs-orange.com/kankou/index.html
TOMIX Nゲージ 92190 肥薩おれんじ鉄道 HSOR-100形 (おれんじ食堂)セット (2両)