まるで和牛界のアイラ。伝説のレアミート「能登牛」の秘密とは!?
先日行われた、ニッポンセレクトドットコムの試食会イベントにて、圧倒的なうまさをほこった「てらおか風舎の能登牛カレー」。
>[A] 「てらおか風舎」のカレーシリーズは、試食イベントでも圧倒的にうまかった
https://airoplane.net/2014/03/17/nippon-select-curry.html
あまりのうまさに感激していたところ、なんとなんと、現地まで取材に行けるチャンスをいただきました。ニッポンセレクトさん、ありがとうございます!
ということで、同カレーを販売する「寺岡畜産」さんに、国内最高クラス牛「能登牛」とカレーの秘密を聞いてきました。ここはまさしく、和牛界のアイラだった。
能登牛って、どんな牛?
そもそも能登牛(のとうし)って、あんまり聞き慣れないブランドです。しかし、これだけ旨い肉ですから、もっと有名でもいいはずなんだけど…。
その秘密は、寺岡畜産さんへの取材ですぐにわかりました。
実は能登牛というブランド、誕生したのは平成23年の6月と、たったの3年前。しかも年間精算頭数は、まだ600頭ほどと、基本的には地産地消にて能登半島から外へ出て行かない、スーパーレアミートだったのです。
その特徴は、美しいサシと、その甘み。和牛のオリンピックである「全国和牛能力共進会」にて、肉の脂の甘みを表す「オレイン酸」の数値が全国内肉中圧倒的な1位ということで「脂肪の質賞」を受賞していたりもします。それにしても、この能登牛、なぜそんなに甘いのか?
寺岡畜産さんによれば、その秘密はまだ解明されていないとのこと。しかし生産者や地元の人達は昔からこう言っていたのだそうです。「潮風が、肉を甘くしている」と。
能登牛の生産地区は、和牛界のアイラだった。
というのも、この能登牛を生産している富来地区は、能登半島の西側で日本海に面した臨海地区にあたります。つねに潮風が強く吹いているのが特徴で、同社の運営しているレストランは「海風」と「牛舎」にちなんで「風舎」という名前がついているほど。そんな海風(つまり潮)をたっぷりあびたエサや、それにより生み出された岩塩を食べて育ったからこそ、この甘みにつながっている…というのが、古来より生産者が言い続けている能登牛の秘密なんだとか。
実は僕、この話を聞いて思い浮かべるものがありました。それは遠くイングランドのシングルモルトウイスキー生産地域である「アイラ地区」のことです。
このアイラ地区で生み出されるウイスキーの特徴は、その潮風による塩気と、力強さと、なによりそこに生まれる深い麦の甘みです。ボウモア、ラフロイグ、カリラ、ラガヴーリンなど、ウイスキー愛好家を次々と嗜好の沼に引きずり込む強烈な個性ある土地こそ、アイラ地区なのです。
このアイラ地区と能登牛の生産地区には、何か不思議なつながりがあるように思えてなりません。潮風を浴びる地区で生産される食材には、何か不思議な力が宿るのかもしれませんね。
牧場由来の寺岡畜産
さて、こちら寺岡畜産さんは、その前身にて牧場を経営していました。こちらの富来地区では小さな牧場が多かったようで、同社も元々はそんな牧場のひとつだったようです。
今もこのように牧場時代の名残があります。芝の部分で牛を飼っていたんですね。
それが、食肉の文化が伝わった明治には、食肉の卸業者、つまり現在の寺岡畜産へと転身をはかったのだとか。創業明治37年と、もちろん能登半島で最も古い食肉業者のひとつです。日本でも古いほうですよね。実は石川県は焼き肉店の店数が日本一なのですが、その素養を築いたのは寺岡さんかも?
そんな寺岡畜産さんですから、能登牛取り扱い免許も第一号。能登牛取り扱い量も第一位。能登牛の中でも特級に当たる プレミアム能登牛 の取り扱いもしています。一頭買いをする業者にとって、数の少ないプレミアムは競りで落とすのも大変なようで、ここは腕の見せ所になるのだとか。
余談ですが、この能登牛(のとうし)が公式な名称になる前から、寺岡さんらをはじめ地元の業者では能登牛(のとぎゅう)という名称が普及していたのだそうです。そのため、名称を決める際には敬意を表してあえて能登牛(のとうし)の名称を採用したのだとか。畜産業者さんの間では、牛そのものの時は能登牛(のとぎゅう)、お肉になった後は能登牛(のとうし)という使い分けがあるそうですよ。
なお能登半島には有名な和倉温泉がありますが、もちろんこちらにも出荷を行っています。とにかく、能登半島の食肉を支えている第一人者が寺岡畜産さんなんですね!そもそも小さな町の小さな食肉業者さんとイメージしていたので、これにはビックリです。
職人の技が光る
市場で競り落とされた肉は、同社内の加工場にて切り分けられ製品となります。実はこの行程がとても重要で、寺岡さんでは熟年の職人が手作業で切り分けを行うため、上質な食肉が提供できるのだそうです。同じ肉でも、赤身と白身の分量や、筋に対する包丁の角度、肉の形などで、味や食感がまったく異なるのだとか。へえー。
ちなみに、その職人さんの逸話が興味深くて、焼き肉店に行って肉が出てきた瞬間には、すでに味が分かるのだとか。肉を扱い続けて数十年だからこその職人技なわけですね…。
いざ、実食へ!
ということで、寺岡畜産さんの中での取材はここまで。次は直営レストランの 風舎 にて実食レポートです!
今回の取材に対応してくれた新谷一茂さんと共に、次の場所へ移動します!
能登牛公式サイト”NOTOUSHI.NET” – トップページ
能登牛がたっぷり入った絶品カレー!てらおか風舎の能登牛カレー