世界最強の爪切り!諏訪田製作所オープンファクトリーで職人技術の神髄を知る #工場の祭典
世界に誇る日本の爪切り。諏訪田製作所が作るそれは、職人の技術がこれでもかと詰まった究極の爪切りと言えるかもしれません。このたび新潟は燕三条で開かれた「工場の祭典」にてそんな諏訪田製作所を訪れたのですが、驚いたことに、こちらの工場は休業日以外「いつ来ても見学させてくれる、いやむしろ見ていってくれ」という素晴らしい場所でした。これは…行かなければダメだと思う。
さあ、見学しよう
諏訪田製作所の素晴らしいところは、その「オープン」の精神。とことん見学して欲しくて、ついには工場の一部を改造、ガラス張りの見学ルートを備えたオープンファクトリーを作り上げてしまったのです。
モノクロームで統一されたオープンファクトリーは雰囲気満点。
打ち出しで不要になった部分が取っ手などのオブジェになっている!カッコ良すぎる!
オープンファクトリーでは、まず諏訪田の爪切りの歴代製品が展示されています。この艶、この色、この鋭さ…。
一通りの歴史と製品を見学したら、次はお待ちかねの職人作業ゾーンです!
まさに「職人」が製品のクオリティを支える!
この職人の担当は「仕上げ」。爪切りを閉じ、光にかざすことでミクロ単位の隙間が無いかどうかをキッチリチェックします。隙間があったら?ダイヤモンドのヤスリなどを使って、そのミクロの傾きを修正していくのです。この道うん十年。もっともベテランになると、60年にも達するとか。もはや代替わりをしている諏訪田製作所において、最も古株の1人であるそうです。爪切りの刃は爪の形にカーブしていますから、その調整をするというのは、熟練の技術を持ってしか成し得ないのです。
次に目にしたのは、グラインダーによって刃付けをしている職人達。そう完成品から少しずつ遡っていくのが諏訪田製作所流の見学。このグラインダーはサンドペーパーが付けられていて、少しずつ、少しずつ磨いていきます。行程ごとに目の粗さ、ペーパーの幅、グラインダーの回転速度が異なっているそうです。
熱して叩いて抜く!
ここからの行程は通路を隔てた隣の工場に。近づくと「ドカンドカン」という大きな音が鳴り響きます。
この巨大な機械で、熱した鉄から爪切りの方に打ち抜く作業をしているのです。
これが打ち抜かれた残りの不要な部分。まだ真っ赤です。なんとなく爪切りの形にくりぬかれています。
残念ながらこちらの工程は目の前で撮影できない場所が多く、実際に火をおこして鍛造している姿などは、遠目で眺めることになります。秘密の部分があるのかもしれませんが、おそらくは危険だからですね。目の前で凄まじい火力や圧力をかけていますから…。
ちなみにシャッターの外からこんな感じでは見ることが出来ます。シャッターの中に入れるのは、工場の祭典など特殊な見学会を開いている時だけなのだとか。
ちなみに工場まで行かなくても、なんとなくの雰囲気はオープンファクトリーのWebサイトからのぞき見ることが可能です。
見学後は併設されたショップ&カフェ(バー)で、全ての商品を試用することができます。もちろんカフェですから休憩も可能です。
まさに完璧な工場…燕三条に来てこの工場に来ないのはもったいなさすぎます。
こころを開いて
諏訪田製作所の方によれば、この見学への注力は、そのまま「こころを開く」ことにつながっているのだとか。
ものは職人の気持ちで作られます。
OPEN FACTORYは、私たちの心を開き、それをお見せする好意そのものの具現です
この言葉にグッときましたね。
なお諏訪田製作所で行われているのはなにも新しい爪切りの製造だけではありません。何世代も受け継がれた結果壊れてしまった爪切りも、持ち込めば修理してもらえる。それが諏訪田ブランドの信頼の証でもあるのです。この日も祖母から受け継いだという板バネの爪切りが持ち込まれていました。これを再び使えるようにしてお客さまに返す。工場内で「里帰り」と呼ばれるこの行為にも、諏訪田が諏訪田たる所以を感じます。本当であれば、一定のサイクルで買い換えてもらったほうが儲かるはずですが、それでもあえて修理を選択するところが、鍛冶職人ですね…。
ということで
世界の諏訪田は伊達じゃありませんでした。日本古来の技術を今に伝えるこの姿、ぜひ、一度は見学しに行ってみてください!絶対に後悔はしませんよ!!!!
なお、この工程を見た後で買った爪切りには、愛着もひとしお。切れ味も申し分なく、末永く使えそうです。
公式サイト&参考リンクなど
>20131005 諏訪田製作所 工場の祭典 – a set on Flickr