清水玲子「秘密 シーズン・ゼロ」は面白い、だけど…(軽いネタばれ注意)
清水玲子の大人気コミック「秘密」は昨年末に大団円を迎えましたが、その後スピンオフの展開がありまして、新たに新作が出ました。それがこちら、「秘密 シーズン・ゼロ」です。「秘密」の主役 薪と、出演しないが影の主役・鈴木との出会いが本作では語られます。そこはさすが清水玲子ということで、傑作ではあるのですが、なんとも言えない苦い感じが…。
以下、多少のネタばれがありますのでご注意を。
薪さんがあまりにも不幸すぎる
そもそも「秘密」自体のストーリーでは、登場人物が幸せになることはほとんどありません。本家「秘密」の主役・青木でさえ最後はあの仕打ちです。もちろん主役の薪も作中ではほとんど笑顔を見せないなど、真面目過ぎ、シリアス過ぎ、そして不幸体質過ぎと三拍子そろっているのですが、本作「秘密 シーズン・ゼロ」では、それに輪をかけて不幸です。
詳しく書いてしまうと最高にネタばれとなってしまうので書きませんが、冒頭でわかることだけでも書いておくと、まず幼くして両親が火災にて亡くなり、自身は命の恩人の介護をしながら学生生活。この設定だけでもシビアなのに、話が進むにすれて、場合によっては精神蝕んでもおかしくないくらいの「秘密」が次々と明らかになります。
もちろんこんな事実にも耐えられるのだから、第9のような捜査機関が可能となったのかもしれませんが、それにしても、不幸過ぎだろと。
作品自体は面白いのですが、さすがにここまで酷いと、ちょっとなあ…というのが感想ですかねえ。
清水玲子の作風はバッチリ出ていますし、本家「秘密」のスピンオフとしては、重要な作品であるとも言えそう。ということで、「秘密」ファンは買って間違いないと思います。ぜひ、読んでみての感想を聞かせてください。
ちなみに、やっぱり史上最高の「秘密」は1巻だと思います。最初読んだ時は、あまりの出来に震えて、そのまま3回繰り返して読みました。最高です。