食事を撮る極意は逆光にあり…ボルドーワインイベントで学ぶ料理写真講座
ボルドーワイン委員会さん主催「デジカメで撮るワインと料理の写真講座」に参加してきました。ボルドーさんといえば知らない人はいないであろう、赤ワインのメッカ。濃厚な味わいはボルドーならではですよね。で、こちらのイベントではワインのテイスティング&食事だけでなく、なんと料理写真の撮り方まで教えてくれるという素晴らしいものでありました。
ということで、まずは「逆光」を極意とする、料理写真の撮り方についてです!
「おいしいものを撮りたい」が出発点で良い
今回の写真講座の講師は、有名誌などでもカメラマンを務められている山家学さん。
ひょうひょうとした中にも強い信念と、丁寧に教えようという心意気が感じ取れる、素晴らしい先生でした。
してその山家先生いわく、出発点が「撮りたいから撮る」であれば大丈夫だと。思い通りにならなくても面白いものやおいしいものが撮れればいいのだと。こういったメンタル的なところからフォローしてもらえると、やっぱりいいですよね。
そして今回の講義ではあえて様々な制約が課されます。ひとつは「縦構図で撮ること」。横の構図は禁止じゃ無いけど避けてくれとのこと。そしてもう一つの制約が「逆光で撮ること」でした。
逆光はおいしい
先生いわく、逆光はシルエットがキレイに撮影できるため、料理写真に向いているのだとか。もちろん逆光で撮れば画面が暗くなりがちですから露出補正を+にする必要がありますが、そこにこの手法の良さがあるのだとか。
こちら、逆光で撮ってみたもの。ふわっとした仕上がりで、確かに料理のシルエットがひきたちます。おいしそうじゃないですか…。
ほかにもポイントとなる点はいくつかありましたので、以下まとめておきますね。
ストラップを首から下げること
一番最悪なことは、カメラを落として壊してしまうこと。撮影に夢中になるとどうしても起きてしまう事故であります。しかし山家先生は、一度もやったことがないのだとか。なんで!?とその理由は、必ずネックストラップを首にかけているから、それにつきるそうです。確かになあ。面倒だと腕にまいて簡易ハンドグリップにしちゃったりしていますが、ストラップがどこかに引っかかる怖い思いをしたこともあるし、ちゃんと首にかけよう…と反省しました。
レンズフードを付けること
こちらも基本的なことではありますが、逆光で撮る際には光がレンズに対し直接的に入ってきがち。レンズフードは必須とのことでした。もしフードがなければ、サンバイザーのように手で覆っても良いとのこと。ああ、やっぱりそれでもいいんだなあ。勉強になります。
背景や周囲に余計なものを残すのは、単なる手抜き
これ、やっちゃうときあるんですよね。おしぼりが背景になったり、食べ残しが写り込んでしまったり。でも先生いわく、それは手抜きだと。サボりだと。おいしく撮るためには、それくらいしなさいってことです。本当にごもっともです。「おいしく撮る」というシンプルな目標を達成するためには、なるべく余計なものを排除する必要があるわけですね。
ちなみに前後にお皿がある際には、望遠レンズによる圧縮効果を使って、お皿が密集しているように撮影するのがポイントだとか。メモメモ。
ブレはシャッターの押し方ひとつで変わってくる
これは意外な話でした。みんなシャッターを乱暴に押しすぎだろ、って話です。もっとソフトに、シャッター切れるか切れないかくらいの力でおせば、手ブレはかなりふせげると。たしかに手ブレってシャッター「押した瞬間」に起きているわけですからね。半押しができるのだから、ソフトシャッターもできるだろうという話でした。納得だなあ。
ピントは少し手前に
多少テクニカルな話になりますが、ピントを持ってくる場所は一番見せたい部分の若干手前にすると。なぜなら、手前がボケているだけで主題がボケている印象を与えてしまうから、だとのことです。なるほどねえ。これは次から間違いなく生かせるノウハウだなあ。いいですね。
困ったら、寄る
これもずっと言われてますよね。構図とか関係無しに、おいしいと思う部分があるならそこに寄れと。もうこれ以上寄れないよ!ってくらいまで寄りなさいと。たとえばパスタのエビ1尾に寄ってもOKだと。自分はこれがおいしそうだから撮りたかった、おいしそうでしょう?という意思があれば良いとのことです。いいなあ。こういうことを教えてくれるのは本当に嬉しい。
ということで、撮影です。以下、作例を意図と一緒に並べますね。全て補正なしです。
背景のグリーンを生かしたかったのですが、露出がアンダーでした。
テーブルの角度とワイン、お皿の場所をこだわってみました。お皿のふちを見切るかどうか悩んだのですが、これはこれで面白かったと思います。
ワインを手前に持ってきて構図的な面白さを狙ってみました。露出がどうしてもアンダーだなあ…。
ふちのあるお皿だったので、真上からの構図で面白さを出しました。逆光かと言われたら微妙ですが(笑
そばにあったペーパーナプキンをワンポイントとして入れてみました。工夫に対しては先生から○もらえましたので満足。
今回最も適正露出で撮れた写真な気がします。左下が飛んでいるように見えないよう、お皿の縁を入れたけど余計だったかなあ。
ということで、色々考えながら撮るという濃密なお時間をいただきました。最後、みんなの写真を先生が選んで講評するってのも良かったです。他の人の視点大事!
いやー本当によいイベントでした…。
なおボルドーワインに関するパートは別途エントリします。