ReadMe! の終焉

2007/11/20一発ネタ系記事,読み物Readme,TECHSIDE,web,テキストサイト,ニュースサイト

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初期ニュースサイト・テキストサイト時代の象徴であるランキングサービス「ReadMe!」が、 様々な事情から、事実上そのサービスを終えました。あまりにも感慨深いため、ちょっと昔話でもしてみようかと。もうほとんど独り言な内容である上に、記憶が定かじゃない部分もあるので、事実錯誤があったらやんわりと指摘してくださいね。

僕がReadMe!に出会った頃

僕がReadMe!に出会ったのは、大学3年生だった2000年の9月。ちょうど7年くらい前ですね。当時インターネットにどっぷり浸かっていた僕は、HTMLを手書きして日記サイトを運営していました。ちょうどそんな時、偶然バイトで出会った友人がReadMe!で3位にいるということを知ります。それが TECHSIDEのTECHさんです。

僕がニュースサイトをはじめた頃

 当時の僕はそこまでニュースサイト界隈には詳しくなく、巡回先といえば「 あめぞう」やできたばかりの「 2ch」、他に「下水道」やら「志保ちゃんのエミュレータニュース」などアングラ系サイトが主でした。それがTECHさんとの出会いにより、急激にニュースサイト界隈へと興味を移していくことになります。当時のニュースサイト界といえば、中心となるのはピンクの「 SMALLNEWS!」、赤い「 TIDALWAVE」、そして緑の「 ムーノーローカル」、さらに先述のTECHSIDEが中心でした。他にも「J-oの日記」や「裏ニュース」「 変人窟」に「 Narinari.com」、「Kotomix」「 ポケットニュース」や「 ほんわかキリン本店」などがメジャーどころだったでしょうか。そんなニュースサイトの先輩サイトを眺めるにつれ、自分も同じようなサイトを運営してみたい…という想いではじめたのが、この「 airoplane.net」です。

僕がニュースサイトを運営していた頃

 当時は「新着情報を確認する」という行為がなかなか大変であったため、ニュースサイトはどちらかといえば供給不足でした。というのも、その頃のネットといえば、23時以降定額の「 テレホーダイ」を利用し、56Kと低速なアナログモデムで接続するのが主流。そんな時代背景もあって、社会人や早起きが必要な23時以降にアクセスできない人は「じっくりとニュースを集める」ことが非常に困難だったのです。そこで「ニュースがまとめられているニュースサイトを訪問する=短時間で効率的にニュースを閲覧できる」という行為に需要が集まり、ニュースサイト全盛期とも思える時期が訪れたのです。盛り上がりが生まれれば、そういったサイトを運営する人も増加するのは自然のことわり。僕を含めた多くの管理人が、時を同じくしてニュースサイトをはじめたのでした。

ニュースサイトに最も個性があったころ

 当時は「ニュースサイト界といえど、後発で行くからにはいくつか奇抜なことをしなければ…」ということで、拙いなりに戦略を考えていました。まあ戦略といっても大したことはやってなくて、「極論で攻めるコラム」「24時間(に近い)速報的更新」「電車の中刷り広告的、見易さよりも羅列・ごった煮感を強めたレイアウト」なんて単純なものだけですがね。ただまあ物珍しさもあってか、そこそこのトラフィックは獲得することができました。当時のReadMe!で平均100位以内、最高で10位近くだったか。その最高位も地力で獲得したものとは言えず、当時革命的だった更新確認ツール兼デスクトップアバターの 「何か。」もしくは「偽春菜」によってもたらされたトラフィックが莫大なもので、その結果…というものでした。今でいう「はてな」みたいなもんですかね。

 同じ頃のニュースサイトは、それはまあ個性的なもんでした。テキストの内容で勝負するサイト、切り口で勝負するサイト、そして今と違うところが芸術的なHTML…いやテーブルレイアウトで勝負するようなサイトがあったことでしょうか。そういえば 青い人も当時はニュースサイトやってましたっけね。CGIで「○○風」とレイアウトを切り替えられるサイト構成には驚かされたものです。

 今思えば、個性爆発なサイトが多かった時代じゃないですかねぇ。デザインやレイアウト含めて。サイト名の由来インタビューコンテンツ「 キミノナハ」なんて、作っていて面白かったなぁ。なんせみんな、極端なまでに個性的なんだから。

そんな当時のReadMe!

 なんか自分の話にばかりなっちゃっているので、本題に戻りましょう。当時のReadMe!といえば、数多に存在するランキングサイトの中でも抜群の存在感と質を誇っておりまして、冗談みたいな話ですが「昨日ReadMe!で○○位になったよ!」なんて会話が普通に行われていたほど。他にも「日記なんとか」「えんぴつなんとか」なんて感じのランキングサイトがあった気もしましたが、やっぱり話題の中心はReadMe!でした。

ReadMe!ビッグスリーオフの頃

 2001年の終わり頃になると、ReadMe!を中心として「テキスト弄りサイト」の潮流が生まれます。その中心は言わずと知れた「 侍魂」。まさにテキストの色変え・サイズ変えによる語りの文化を定着させたと言っても過言ではないサイトです。個人的な話になりますが、そんな侍魂の健さんを中心にReadMe!の上位3サイトを集めて行ったのがReadMe!ビッグスリーオフです。TECHSIDEのTECHさんや裏ニュースの 吉野さんをはじめ、Narinariのコ○助さんや 永遠の19歳・海腹川背さん、ωで有名な さらしるさんなどを呼んで、日ごろの苦労を語り合うというか、飲み明かす機会を何度か設けました。この頃がオフ会やってて一番楽しかったなぁ。無理もきくような年齢でした。つか、みんないまだに自分のサイトやってるのが面白いなあ(笑

この頃の人の多くはいまだにネットで活躍している印象です。やっぱり濃い人ばっかりだったんだろうなぁ。

ReadMe!の終焉が近づいた頃

 ニュースサイト&テキストサイトの象徴でもあったReadMe!の終焉を最初に感じたのが、「探偵ファイル」や「俺ニュース」がはじまり、そして「はてな」が大きくなりだした頃です。この頃になると、「孫サイト」なるサイト運営スタイルが流行し始め、リンク&トラフィックの流れが出来、ReadMe!によるランキングが意味をなさなくなってきました。

 というのも、それまでのニュースサイト&テキストサイトといえば、どのサイトも個性があり、扱う内容こそ被れどコメントや視点が異なっているのが普通。ですが、この「孫サイト」流行の頃には、ニュースに対してのコメントがなくなったり、全てが参照元のついた2次3次のニュースだったりするようになり、(ReadMe!の上位をさらっても)同じニュースを扱うサイトばかりが目に付くようになってきたのです。そのため、ReadMe!の上位をおさらいする日課も自然と消えていきました。

今考えれば、これが「ソーシャルブックマーク」流行の走りになったのかもしれませんが。

ブログ時代、RSSのはじまりとReadMe!の終焉

 その後のネット界は、みなさんご存知の通りブログが席巻することとなります。このブログからはRSSが吐き出され、ReadMe!やはてなアンテナのように「ランキング」や「更新情報」だけを取得するだけのサイトはその存在意義が薄くなっていきます。冷静になってみれば、ReadMe!もよくここまでもったものです。

 いま、ReadMe!に代わるサイトといえば「はてなブックマーク」や「Newsing」になるのでしょうか。昔は「ある管理人が集めたニュースの集合体とそのコメント」に価値が見出されていましたが、最近ではもっとミクロに「書き手はともかくとして、そのニュースもしくはコメントのみ」に価値が見出されているような気がします。いや、気がするだけなのかもしれませんが。

 とにかくReadMe!が隆盛を誇ったあの頃とは何もかもが変わってしまいました。なんだか懐かしくもあり、さびしくもあります。僕はいまここに(僕の中のごく小さな世界にある)ニュースサイトとテキストサイトが終焉したことを強く感じてしまうのでした。

ニッポンのインターネットの歴史

もしあなたがこういった太古のインターネット界隈の歴史に興味があるならば、次の本を読むとよいでしょう。間違いありませんから。

教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書
5つ星のうち4.8

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