コロナ時代もプロの味方!はたらくクルマの最新事情を見てきたよ #日産あんばさだー

2020/12/09イベントレポートNV,コロナ禍,ストレッチャー,トミカ,日産

日産の誇るはたらくクルマたち。それを一同に体験し学ぶことができるイベントにお誘い頂きました。コロナ禍のこの現代において、早急にプロの要望に対応し、既に対応できている姿が印象的でした。普段はあまり意識しませんが、プロの使う多くの車は、ふつうの自動車メーカーが作っているのです。

コロナ禍で必要となった新しい仕様

本来ならばなくても良かったもの。それはこの一連の新型コロナウイルスに関する社会の状況です。世界は分断され、一部の職業は大きくダメージを負い、また一部の職業ではとても高いリスクにさらされながらの就業を余儀なくされています。

そのリスクの高い職業のひとつがタクシーです。タクシーは閉鎖空間で運転手と乗客が一定時間を過ごさなくてはなりません。窓を開けることで感染リスクなどは下げられると思いますが、だんだんと寒い季節になってくると、いつまでそれで対応できるのか怪しいところもあります。

なにより今お客さん相手の商売で重要なのは、心理的な安全性です。「あっ、これは大丈夫そうだ」というファーストインプレッションがとても重要なんです。

たとえばこちらは、八洲自動車さんが実際に運用しているセレナタクシー。

日産が開発したコロナ対策済みの特殊仕様になっていました。

具体的には、乗車スペースと運転スペースとの間がきっちりとビニールシートなどで区切られており、支払いのための空間だけが空けてあるという仕様でした。上からビニールをつるしているのでは無く、きちんとスペースが埋められているのが好印象です。

ビニールによる仕切りによって声が届きづらくなるため、運転手はインカムを使って話をすることになります。そこで車内にはマイク/スピーカーが設置されていました。

思えば海外でタクシーに乗ると、ドライバーの安全を守るために乗車ゾーンと運転手ゾーンが強固に仕切られていることがあります。乗客とドライバーの間が壁で仕切られており、お互いが話をするにはインターフォンのようなものを使うことがあります。いわゆる強盗対策ですよね。

今回の仕様はウイルス対策のためそこまで強固な壁では無くビニールシートでの区切りですが、こんな仕様が必要な世界が来るなんて…というのが正直なところですね。

ただ、やはりドライバー的にもこれは安心感があるそうで、1日に不特定多数の方々を乗せる仕事だからこそ、こういった安心な仕組みが導入されているのは歓迎するといった感じでした。コロナ禍において、プロの要望にいちはやく応えた日産という構図ですね。各タクシー会社が個別にがんばるのではなく、メーカーである日産が対応したところが素晴らしいと思っています。

 

プロの体を守ることは、想像以上に重要である

さて、同じような流れでプロの体を守る仕様となっていたのが、救急車ことパラメディックです。実は昨年もこちらを拝見したのですが、仕様については大きく異なっていました。

どこが変わったかと言えば、電動のストレッチャーリフトが備え付けられていたことです。

たとえばこの写真は、種も仕掛けもありませんが、人がほぼ浮いているように見えます。

実際には専用ストレッチャーを救急車側のジョイントに接続することで、電動にてストレッチャーを持ち上げてくれる仕組みなのですが、冷静になってもう一度写真を見返すと、この異常な光景に気がついてもらえるのではないかなと。成人男性の体重+特別なストレッチャーの重量を、ジョイント部分だけで支えているわけです。しかも、地面の高さから持ち上げています。

これは海外で広く導入されはじめている、Strykerというメーカーの電動ストレッチャーで、電動の油圧昇降システムにより、最大318kgまでの耐荷重をもつ仕組みなんだそう。

救急搬送時、隊員にとってもっとも負荷の高い作業こそ、ストレッチャーを救急車へと乗せる作業。そこには人数が必要な上、各隊員が自身の体を痛める可能性もありました。また小柄な人だったり女性であったりするとそもそも対応が難しかった(=隊員になれる可能性が狭くなってしまう)のですが、このシステムを導入すれば、誰でも安全に、かつ少人数で患者さんを救急車へと乗せることができるんだそう。

もちろん救急車にこのシステムを搭載するにはそれなりの手間とコストが必要なようですが、これから労働者人口が減ってくるにあたって、プロの体を守り、またプロが少人数でも現場を回せるようにする仕組みは、大変に重要なものなんだろうなと感じさせられました。だって、こんなに大規模な仕組みが必要なものを、これまで人力でやっていたわけですよ?

様々な「玄人」の要望に応え続ける、はたらくクルマ達

さて、上記2つの例はいわゆる「トッププロ」達が使うことを想定とした、専用の仕組みです。しかし、はたらくクルマが活躍するところは、もう少し一般よりの、業務や趣味、いわゆる素人ではない「玄人」が使う場面こそ多いはずです。

そんな玄人の現場にも対応してきているのが、以下で紹介するクルマ達です。

たとえば様々な業種で人員輸送に使われるNV200では、後付け可能かつ現実的な価格で導入できる隔壁が開発されていました。後付けというのはけっこう大変で、着脱が可能な仕組みですべてを済まさなくてはならないため、アイデアが必要です。

例えばこの「NV200バネット 軽症感染症患者 搬送車」では、隔壁で仕切られたドライバーと搬送される人との会話を、一般家庭でも使っているようなインターフォンにて解決していました。一般製品なのでコストもおさえらえており、調達も用意です。

また、主な利用用途を「コロナ発症者で軽症な人の搬送」としているそうで、後付けできる空気清浄機などもアドオンしていました。

吸気パネルのついたでっぱりが空気清浄機です。これにより、既存の車両に対して安価な改造で、安全にコロナ患者を輸送できるクルマへと仕上げることができるというシステムです。

使わないにこしたことが無いんですけどね」と担当者は語っていましたが、でも、必要だから作る。という姿勢ですよね。

 

他にもデイケアセンターなどで送迎に使うことを想定した「日産ルークス送迎タイプ」というものもありました。

こちらはお年寄りでも掴みやすい手すりやつり革を装備しているほか、もしもの時にでも簡単に丸洗いできる防水シート、さらには乗降をより簡単にするためのステップなどが備えられていました。

これらの装備が、数万円でアドオンできるとのこと。まさに現場ではたらく人のための、最低限だけどとても効果のある改造なんだと思いました。

 

また、一方では民間パトロール用の「日産リーフ 青色防犯パトロールカー」も開発されていました。

たまに都内で見かける青パトっぽいあれですね。こちら、災害時にはリーフのバッテリーを使えるよう、専用のACコンバーターキットがそなえつけられていました。

ちなみに毎回恒例の担当者コスプレは、今回このポリス風でした(笑

さらに!コロナ時代のリモートワークにも対応していたのがこちら、「NV350 キャラバン マルチベッド」です。

なんとキャラバンの後部座席をとっぱらい、ベッド仕様にしてしまったものです。これはすごい!初期装備にしていることで、車検なども通し安いんだとか。改造じゃ無くて仕様ですからね。

しかもベッドを片方たたんだりして、テーブルモードにもできました。

こんなキャラバンがあったら、どこでも仕事できちゃいますね。

 

子供の(大人の)夢のためにはたらくクルマもある

ここまでは実用的なはたらくクルマを紹介してきましたが、夢のためにはたらくクルマもあります。

たとえばこれは、トミカ50周年のトミカデザインに合わせた実車「NISSAN GT-R トミカ50周年記念仕様」。トミカを再現した実車ということです。

今回の企画としては少し経路の異なるものかもしれませんが、個人的にはこういったプロへの応え方もあるのだなあと、一気通貫するものを感じました。

ちなみにお土産に同トミカを1台もらってしまいましたが、うちには観賞用と遊び用がすでにあったので、3台目になりました(笑

はたらくクルマの高い要求をこなしてこそ、一般のクルマがある

今回のイベントで痛感したのは、はたらくクルマを作るということは、プロからの高い要求や要望、それを解決するアイデアなどを提供する覚悟が必要だということ。一般のクルマと違い、はたらくクルマはそれそのものが「やりたいこと」や「生活」に密接に結びつきます。そのクルマがなければ成すことのできないことがあるくらいに、責任が重大です。でも、誰かが作らなければ困る人がたくさん発生するでしょう。そんな責任を抱える意思がなければ、はたらくクルマには手が出せないわけです。

一方で、そうした高い要求に応え続ける姿勢があるからこそ、一般のクルマのクオリティを高めることができるんだろうな、ということも感じました。はたらくクルマをつくっているからこそ、プロの要求に応えることで裏付けされた結果を得ることができ、それが一般の車両にも還元される。そんな世界を少しだけ垣間見ることができたような気がしました。

正直グランドライブは遠いのですし、今年の2月以降で初めて参加したリアルイベントになりましたが、これは実際に現地まで足を運んで良かったなあと素直に感じられるイベントでした。

日産のみなさん、ありがとうございました。