生サラミ by エリオ ロカンダで、イタリア本場のサラミの世界を味わった!
ハムと生ハム。とっても名前が似ていて、素材もほとんど一緒の両者ですが、その違いは天と地ほど。ってのは、説明しなくてもわかりますよね。とにかく「生」って付くだけで、非加熱なだけで、これだけ味わいが違うってのは、加工食品のひとつの醍醐味なんじゃないかって思うわけです。
さて、話は本題にもどりまして、サラミです。そう、あのサラミ。ビールのつまみや適当な前菜に使える率100%の、あのサラミです。このサラミに、「生」タイプがあるとしたらどんな味になると思いますか?
その答えを、今から説明しましょう。今回は新たに開発されたこの「生サラミ」の試食会に招待してもらいましたので、その様子をご案内します。
日本の中のイタリア共和国「エリオ ロカンダ イタリアーノ」
この「生サラミ」なる耳慣れない加工食品をプロデュースするのは、日本の中のイタリア共和国として名高いかの「エリオ ロカンダ イタリアーノ」のオーナーであるエリオ(上写真)。一歩足を踏み入れれば、そこにはイタリア現地の空気が流れるこの店は、とにかく現地人が多いことでも有名。オーナーのエリオと、料理の鉄人にも出演したシェフのジェルマーノが提供するこの空間は、本当に居心地がよく、なによりおいしい。そんなエリオのお店で出すサラミが、間違いあるわけないじゃない。
…とは思うものの、やっぱり食べてみないとなんにもわかりませんよね。
ということで、早速いただきましょう。その「生サラミ」という食べ物を!
生サラミは白ワインとマリアージュしたい!
ということで、さっそくエリオ自らがカットをはじめてくれました。
まず提供されたのがこちら、クラシッコ・ビアンコ(左)とサルシッチャ・カラブラ(右)。まずはビアンコのほうからいただきます。
と、一口目から絶句ですよ。これ、サラッとしている…!
粗挽き肉にスパイスと白ワインをまぜ腸詰めして熟成させられた生サラミは、サラミとはいうもののパテに近い食感と味わい。しっかりと肉の味はするものの、あくまでなめらか。さっぱりとした食感で、後を引きます。これは明らかに白ワイン。カットして、ワインのつまみとしてそのまま食べるのには絶好の味わいですよ。
イタリア職人が作るサラミ クラッシコ ビアンコ|ファットリアビオ北海道
対してサルシッチャ・カラブラ・ドルチェ。辛いのかな?と思ったらそんなこともなく、こちら優しい味わい。なによりフェンネルシードがとてもいいアクセントになっていて、食べ飽きない。不思議なことにこちらも白ワインとの相性バツグン。サラミってこってりしたイメージだから赤ワインという先入観があったんですが、これは白ワインで試してみて欲しいです。それも香り高いものと合わせたい。
イタリア職人が作るサルシッチャ カラブラ ドルチェ|ファットリアビオ北海道
うーむ、この時点で自分のサラミ感がぶっこわれたことに感銘を受けます。これ、末恐ろしいものを作っているんじゃなかろうか。
しっかり辛いンドュイヤ。これがめちゃくちゃうまい。バゲットにつけてもよし、そのままなめても良し。うわーこれはやばい。濃厚さがはんぱない。
さらに続いて提供されたのが、まだ試作品というプレザオラ。塩漬けした肉を脱水するだけという、至極シンプルな作り方なので、これまた職人の腕が試される食材です。
こいつを豪快にパルミジャーノチーズ&ルッコラ、オリーブオイルで喰らうわけです。やばい。これだけで上等な料理の完成ですよ。
なんでもエリオによると、日本におけるサラミとイタリアにおけるサラミの違いは、どれだけ日常に溶け込んでいるかどうかという点なんだとか。イタリア人にとってのサラミって、日常食も良いところなので、応用の幅も、登場するシーンの数も段違い。存在そのものの位置づけが全く異なるのだそう。なるほどねえ。
「生」サラミたる所以とエリオの想い
と、ここまでくるといったいなにが「生サラミ」の「生」たるかってところが気になりますよね。
ここではわかりやすく、同じ食肉加工食品で「生」を冠につける「生ハム」で考えてみましょう。簡単にいうと、生ハムは加熱を行っていないハム。一般的なハムは薫煙・湯煮したものですが、燻製や乾燥のみにとどめると生ハムと呼ぶようになるわけですね。
同じく生サラミも、薫煙・湯煮しないものがそれにあたります。いわゆる非加熱食肉製品というジャンルです。ちなみにソーセージとの違いは乾燥させるかどうか。乾燥ソーセージがサラミなんですね。だから、生サラミってことは、非加熱乾燥ソーセージってことです。消費者庁の分類だと「ドライソーセージ」にあたりそうですね。
さて、なんでこんなことを書いているかというと、どうやら日本には「生サラミ」という定義がないようだからです。そんなところからも、日本とサラミの距離感がわかりますよね。つまり、日本においては生サラミは存在しないことと同等なのです(とはいえネットを検索すると生サラミを取り扱っている店舗はいくつかあります)。
そのうえで、純イタリア風の生サラミを作っているのは、おそらくここだけなんじゃないかって思います。しかも無添加無着色。実はエリオの息子(下写真右)はアレルギーもちで、こういった添加物に弱かったんだそうです。そこでエリオは、自分が作る食品・料理に対して無添加無着色にこだわったわけなんですね。だからここエリオ ロカンダで口にするものは、全て安全な食品なんですよ。エリオいわく「ぜひ子どもと来て欲しい!」とのことです。いいんだ!
ちなみにこのサラミの製造担当は、本場イタリアのサラミマスター「ヴィットリオ・サウロ(写真中央)」。
南イタリアのカラブリア州チェトラーロに生まれ育ち、その後イタリア国内のコザックというD.O.P.認証を受けたファクトリーで研鑽を積んだそう。エリオが呼び寄せたプロ中のプロです。
サラミを使ったイタリアンを堪能!
さて、生サラミは一通り食べたので、お開きかな?と思っていたら、そこはエリオ ロカンダ。サラミを使った料理まで登場しました。当然ですが、イタリアではそのまま〜さまざまな調理にサラミを使うわけです。
こちらサラミを使ったトマトソースのパスタ。とってもシンプルなトマトとバジルのパスタに、サラミを入れるだけでこんなに味わいが深まるの!?という驚き。これ、自宅でぜひ作ってみたいパスタですよ。たぶん塩気もほぼサラミとチーズのものだけなんじゃないかな。
そしてこちらがラビオリ。もちろん中には生サラミ。こってり風味と思いきや、ハーブが効いてさわやかな味わい。意外性と満足感が両立する奥深い逸品です。さすがにこれは赤ワイン。と思ったけど、実は白でも良かったな。このサラミのくどくない感じは、永遠に白ワインが欲しくなってしまう…!
最後にきたのがこちら、生サラミ・オン・ソース。いや、ソース・オン・生サラミ?とにかく生サラミにトマトソースをかけてダイレクトに食べちまおう!という一品。ぜいたくすぎる。サラミのさっぱり濃厚な肉感に、トマトの酸味がダイレクトオン!いくらでも食べられてしまうのではないか…。
デザートにはカンノーロ。一般的なイタリアのお菓子です。リコッタチーズのコクがたまりませんなあ。
ということで、この日の試食会は以上の内容でした。そもそもおいしいエリオのお店に、この食材がそなわったら、いわゆる「鬼に金棒」ですねえ。
のりおのまとめ
「イタリア料理」はそこそこ食べているつもりでしたが、まさかサラミひとつでこれだけ感銘を受けるとは思いませんでした。なんか今回の生サラミを食べていたら、イタリアにサラミを食べる旅に出たくなっちゃいましたよ…。
生サラミは、近い将来に「くる」かもしれませんね。これは圧倒的にうまいもの。肉加工食品の世界って、深いですね。食材の良さをそのまま使うのもいいけど、加工の世界にはその国や地域ごとに積み重ねられた様々な手法があって、最適化もされています。もしかしたらこの生サラミは、イタリア料理の歴史を食べていることになるのかも。いやー、勉強になりました。
生サラミの入手方法
以下からどうぞ!
イタリア職人が作るサラミ クラッシコ ビアンコ|ファットリアビオ北海道
イタリア職人が作るサルシッチャ カラブラ ドルチェ|ファットリアビオ北海道
エリオ ロカンダ イタリアーナ
おいしい本格イタリアンレストラン『エリオ ロカンダ イタリアーナ』
東京都千代田区麹町2-5-2
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