スリーエムの本気!フィルムだけでここまで深みを持つ企業ってそうそうないよ。
すでに3回目、来慣れた感もあるスリーエムさんにて、3回目の「ざ・3Mセミナー」が行われました。今回は「薄くてスゴイ、その名はフィルム」ということで、ついにスリーエムさんの真骨頂でもあるフィルムのお話です。
その前に大事な話がある
そうそう、これは書いておかなければなりません。
スリーエムといえば、正式名称は「住友スリーエム」だと思っていましたよね。僕もずっとそうだと思ってました。そしてそれは間違っていません。ほんの少し前までは。
実はスリーエムさん、
2014年 平成26年 9月
3M社の出資比率が100%に。(住友電工株式会社持分25%を取得)
社名をスリーエム ジャパン(株)に変更。
ということで、資本関係が変わり、名前も「スリーエム ジャパン」へと変更になっているんです。
これは知らなかった…!
大事なことなので、ここで確認しておきたいと思います。
みんなの命を守るためのフィルムがあった
さて、本題のフィルムです。一番身近なフィルムと言えば、おそらくセロハンテープかな、と思います。あれもフィルムですよね。バスなんかを彩るカッティングシートも、フィルムの一種です。わかる。ここまでは想像できる。
しかし、スリーエムには命を守るためのフィルムがありました。
>3M|ペトリフィルム™ 培地 クリーン・トレース™ 衛生モニタリング製品 食品衛生管理製品|製品とサービス
http://www.mmm.co.jp/microbiology/
それがこちら。実は、微生物検査をするためのフィルムというものが存在するらしいのです。へー!
その名の「ペトリフィルム」。ペトリってのは、シャーレのことです。シャーレって学生の頃に菌の培養なんかでつかいましたよね?つまり、フィルムをシャーレのように使って菌を培養できるのが、このフィルムなんです。
あの仰々しいガラスの検査用品が、なんとフィルム1枚に。
なぜフィルム化したかといえば、その理由は本当に納得いくものばかり。
まず手間についてです。シャーレで実験をしていたころは、均一の培地を作るという特殊技能が必要だったんですね。シャーレを滅菌して、培地を作って、菌を植え付けて、フタをして…みたいな手間が、ほとんど無くなりました。
フィルムが培地そのものなので、技能不要で均一な培地が手に入るようになりました。それも大量に。フタの代わりにフィルムを閉じるだけですみますし、そもそも場所がほとんど必要ありません。利用後は滅菌・焼却などのを処分するだけ。ガラスのシャーレに比べて、とにかく取り扱いが楽なんです。
もちろん実験内容にも寄与しています。フィルムの底面には色を付けることができるため、菌を認識するのが大変楽になっているんですね。
すごいじゃんペトリフィルム。
さて、以下はデモの様子。
ペトリフィルムに水滴をぺとり。
シールを貼り合わせたら、上から押さえます。
そしてしばらくすると、このように菌があらわに!わかりやすい!
通常の寒天培地と比較させると、こんなにくっきり。
すげー。フィルムでやろうと思いついた人は天才だな。
菌もずっと閉鎖空間に存在するので(シャーレだと開けなければならない)、安全だし廃棄もしやすいし、これは研究分野にとても貢献しているように思えました(専門の方、実際どうですか?)
実際にはアンデルセンやマルハニチロ、ニチレイなどで使われているよう。超大手じゃないですか。フィルムからイノベーションが起きている雰囲気があって、とっても興奮しました。
貼ると明るくなる!?常識を逆転させる輝度上昇フィルム
お次は常識やセオリーをぶっ壊してくれる衝撃のフィルム。
>3M|フィルム製品|液晶ディスプレイ関連|製品とサービス
http://www.mmm.co.jp/display/products/
普通に考えたら、光源に対して何かを重ねるごとに光の透過量が減るわけで、わずかではあろうとも暗くなるはずですよね。少なくとも僕はそう思っていました。
ところがね、あるそうなんですよ。貼ると明るくなる、っていう非常識なやつが。
原理としては、光を集めたり、光を再利用したりするそうなんです。ほー。
例えば光を集めるのにはプリズムの原理を利用したり。いろいろ考えるものですねえ。
これはフィルムごとにどれだけ明るくなるかを比較できるディスプレイカバー。ずいぶん明るさがかわりますね。
こちらもデモをしましょう。このフィルムを貼ると…
えっ、こんなに!?この写真だと四角い穴が開いているような気がしてきますが、紛れもなく、四角いフィルムを貼っています。
↑指向性があるので、向きを変えると暗くなります。明るいところは順光の向きで貼ってあるため、明るくなってます。ははあ。
こんなにわかるもんなのだなあ。
このフィルム、かなりの数の液晶メーカーに採用されているとのこと。知らないうちに僕らの生活をグレードアップさせている存在。それがスリーエムッ!
高いけどカッコイイ憎い奴、ダイノックフィルム
さあ、ついに出てきましたダイノック。
>3M||3M™ ダイノック™ フィルム|建築関連製品|製品とサービス
http://www.mmm.co.jp/cmd/dinoc/
ダイノックフィルムとは、そもそも車に木目調の模様を付与するために生まれたフィルム。貼るだけで材質が変わったような
いまや日本の大型ビルディングや商業施設はダイノックフィルムなしでは成立しないでしょう。質感がめちゃくちゃ高かったら、だいたいダイノックです。クオリティが高いぶんお値段も、というのがダイノックです(笑
このダイノックを貼り付けるデモもやらせてくれるとのこと。これは嬉しい。
↑これが成功の貼り方。
↑こちらは失敗してしまった貼り方。しかし!空気を外に出せるようになっているのがダイノックです。
スキージーでゴシゴシすると、空気が抜ける構造になっています。だから誰でも貼れちゃうんですね。
この接着面の構造が、空気抜きの秘密となっています。気が利いてるね。
簡単!
さて、今回は好きなダイノックを貼っていいとのことで、選びたい放題です。こ、こんなに大量にダイノックが…。
反物選んでいるみたいです。
ちびっこ用のおうちに貼り付けちゃいます。
ガッとね。
さて、どうでしょう。初めてダイノックを扱う素人でも、こんなにキレイにはることができました。というか木目の質感はんぱないな…。そりゃ世界中で使われるわけだわ。
お土産もいただいちゃいました。
のりおのまとめ:フィルムの常識を覆しまくっているのがスリーエム
冷静に考えれば、セロハンテープを作った時点で、フィルムの世界を先導するのがスリーエムになったわけですよね。まさか、フィルムが貼り付けられるようになるなんて、というイノベーションです。
シャーレをフィルムにするなんてのもイノベーションですよね。しかも、色々と付加価値がついてくる。培地を作るのに技術が必要だなんて知らなかったんですが、それを理解すると、この製品の重要さがわかってきます。
ダイノックも、このビルディング時代の殺風景さを解決してくれていますよね。そもそも自動車の外装に木目、って時点で無謀なわけです。でもそれをクリアしたからこそ、いまのダイノックの立場があるんですよね。
フィルムだけでここまで深さをもっているスリーエムという会社って!という話です。基礎技術マイスター。スリーエムのイベントももう3回目ですが、毎回毎回驚かされるのは、ちゃんとした技術を使ってイノベーションを起こしているからに違いないと思っています。
なお、そんなイベントの4回目が開催されるそうです。
応募は↓からどうぞ!
関連リンク
>「道具」だけじゃない。「装備」で人々の身を守るスリーエム #3mjp | エアロプレイン
https://airoplane.net/2014/08/04/defense-ware-3m.html
>ざ・3Mセミナー「意外と知らないテープの歴史」で知る驚異のテープたち | エアロプレイン
https://airoplane.net/2014/06/04/3m-tape-surprise.html
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