雪菓@巣鴨「変化球でいきたい」そう宣言するかき氷専門店
大変に貴重な、天然氷のかき氷が食べられる店、それが巣鴨の雪菓(せっか)です。
こちらのお店、知人の息子さんがやられているということで、特別に試食の機会をいただきました。
場所は巣鴨のメインストリートから少し入ったところ。といっても、とげ抜き地蔵のすぐ脇です。
目と鼻の先。
こちらお品書き。
いちごミルク
安納芋
ブルーベリーヨーグルト
ブルーベリーチーズ
カスタード
ゆず茶
抹茶
梨
マンゴー
栗
納豆きなこ
となっていますが、季節や日によって入れ替わりもあるとのこと。いちごミルクなどは定番なので売り切れない限り大丈夫そう。
まずは一番人気のイチゴミルクからいただきます。
これが天然氷!
不思議なことに、シャリシャリしていません。ふんわり、といってもよいくらいになめらかです。
いちご(紅ほっぺ)の果肉がこれでもかと。うん、これはうまい。ソースもれん乳ももちろん自家製。いちごミルクってのはフレーバーとして王道だけど、かなり高いレベルでまとまっていると思う。なにより、氷の食感といちごの果肉感がたまらない。これは…うま…。
削りはこだわりの手動!
たくさんあるフレーバーのソースはほぼ自家製!
かき氷器は「初雪」という名前。
けっこう高いですね。
天然氷と手削りにこだわるという、かなりコストをかけた作りになっているのが特徴ですねえ。
店長の本田さんによれば「そこまで難しくない」とは言いますが、作っているところはなかなかに見事ですよ。
創業明治27年、日光は松月さんの天然氷を使っています。
さて、お次のかき氷は不穏な雰囲気。
え、なにこれ。
このにおいは…。
納豆きなこです…。
すみません、僕には厳しいのでわんぱくさんにお願いしました。
特製のみつをかけて食べるようです。
かきこむ、わんぱく氏。
氏によれば、完全に納豆だと。ねばり、香り、風味、全てが納豆だとのことです。これは変化球すぎる。日本でもここだけなのでは?
次はなんとなんと、驚きの安納芋。
これがびっくりしたことに、芋なんです。何を言っているかわからないと思いますが、これは「料理」ですよ。安納芋ペーストの氷がけ、という料理。そこまで甘くなく、安納芋の風味が前面に押し出されています。
これはこれでスイーツとして新しい。
しかし、甘みも欲しいですよね。
そこでれん乳(自家製なうえに無料でかけ放題)を頼んだ…はずが…ちゅ、注射器?
そう、こちらのれん乳は注射器でかけるのです。なんだそれは(笑
しかしながら、これにもちゃーんと理由がありました。
こちらの雪菓さんは、変化球のかき氷を多く取り扱っているため、甘さ控えめのものがけっこうあります。そこで、れん乳はかけほうだいとなっているんですね。自分の好みで、好きなだけかけてもらう方式です。
そこで、多くのお客さんからオーダーが入ってもすぐ対応でき(つまり事前に準備でき)、お客さんが自由に好きなだけかけられ、さらに少しだけ面白いものを…と考えた時、注射器に行き着いたんだそうです。
たしかに、事前に充填して提供すれば時間はかかりませんよね。面白い。
いやーそれにしても、天然氷の食感のいいこと!シャリシャリ、ではないんですよ。ふわっふわっなんです。キーンとこないのも不思議です。
はい、そして次は黄色いあいつ。
実はこれ、カスタードです。濃厚なバニラビーンズ入りカスタードを自作で作っているとのこと。
プリンか(笑
こちらはまだ試行錯誤している途中なようです。思いのほか甘くなく、カスタードのまったりした感じが楽しめます。個人的には、プリンにしてほしいぞ。
どんどんいきましょう。こちら、ブルーベリーチーズです。見るかに濃厚。
しかしこれもそこまで甘くない。だんだんわかってきました。雪菓はその名の通り、「菓子」を提供しているんですね。かき氷だけど、既存のかき氷の枠からすこし逸脱するような、そんなフレーバーを揃えているのがこちらのお店なんでしょう。
これもれん乳かけると、グッと複雑な味になってナイスでした。
お次は抹茶。これまで、本当に抹茶のかき氷を抹茶で作った店があったでしょうか。あったとは思うけど、これは渋い。本気で甘くない。いや、甘いんだけどこれはお茶の甘さだ。
ハードな色、してるでしょ?
実はこれが、お茶好きにはかなりいける。本当にお茶なんだもん…。もちろんここにれん乳かけると、お馴染みの味になります。ドバーッと、ドバーっと豪快にかけて食してほしいです。甘苦いの、おいしいぞ。
次のこちらは、なんと「栗」です。
この時期に栗を出してくるのはなかなか面白い。これはかき氷のモンブランですねえ。栗の自然な甘さが生きています。途中でれん乳をかけて甘くしてもよし、そのまま自然な甘さでいくもよし。これも変化球ですなあ。
相変わらず、ガンガン削る本田さん。
回る天然氷。
次はシンプルなブルーベリーヨーグルトです。
ブルーベリーの甘さより、ヨーグルトの酸味が前に出ているタイプですね。これも夏場にはいいなあ。酸味のあるかき氷ってあんまり聞かないよね。完全なる大人の味。
ああそうか、ここのフレーバーって、パンに付けてもおいしそうなものばかりなんだなあ。
こちら、期間限定の梨。もしかしたらもう売ってないかも。
氷のふわふわ感と、梨のしゃりしゃり感のマリアージュは不思議な感じです。みずみずしい甘さ。れん乳をかけると夏場のスイーツに早変わり。不思議だ。
次のこれ、わかりますか?
若い人は知らないんじゃないかって思うくらい渋くて、巣鴨にマッチした商品。こちら、ゆず茶です。
まさかかき氷で食べる日が来るとは思わなかった…。
ゆず果肉満点。これ完全に和菓子ですよ。和菓子。
そして最後にきたのが、マンゴーです。
もちろん自家製ソース。でなければ、こんなに濃厚で、かつ甘さ控えめにできるわけがないです。
マンゴーの優しい甘さと香りが封じ込められたソースですね…。ちなみにこの氷だけ、特製のミルクアイスにしてもらいました。ミルクアイスはれん乳で作った氷を削ったものです。
でもこちらのお店に来たら、ぜひ天然氷を味わって欲しい!
お口直しはいちご氷
最後に、スプーンで食べられるいちご氷です。
普通にうまい。
店主・本田さんが語る
ということで、全て食べさせてもらいました。こちらが店主の本田さんです。
そもそもさいたま市に造詣の深い本田さんがなぜ巣鴨に!?と思うのですが、この地域密着感のある商店街、しかも巣鴨地蔵のすぐ脇という立地を見つけたので、ここでチャレンジしてみたかった、とのことなんですよね。
たしかに最近巣鴨熱いんだよなあ。この和菓子ライクなかき氷なら、年配の方にもうけそう。
気になったのは、なぜここまで直球では無いフレーバーを揃えたのか、ということですが、そこには「変化球でいきたい」という強い想いがあったそうなんです。
天然氷を使って、それを普通のありふれたフレーバーにしても売れるだろうけど、自分は新しい自家製フレーバーで勝負したい。そんな気持ちに溢れていました。
ただし、そんなことを言っていると王道のかき氷を求める人には応えられ無さそうですが、ところがどっこい、ここのいちごみるくは凄まじくうまい。実はあれ1本でもやってけるんじゃないかって思うほどにうまい。
個人的には、こちらのお店ではまず いちごミルク を食べて、その後変化球にいくのがいいんじゃないかって思います。
もちろんですが、お持ち帰りも可能です。
ということで、雪菓さん、試食会をありがとうございました!