Olasonic NANOCOMPO NANO-D1 を先行試用。PCにアドオンすればハイレゾ音源にて未知の体験
いつもレビューさせていただいておりますOlasonicさんより、月末発売予定の新作「Olasonic NANOCOMPO NANO-D1」を一足早く体験させていただきました。このハイレゾ体験は…クセになる!PCの脇にずっと置いておきたい、そんな名作の予感です。
PCにアドオンするための逸品!
今回のNANO-D1は、ヘッドフォンアンプ内蔵D/Aコンバーターということで、主立ったユースケースとしては、ヘッドフォンを中心に音楽を楽しまれている環境となります。見てください、このど真ん中直球に空いたヘッドフォン端子。
こいやー!って感じですよね。UA1との違いは、スピーカーアンプが無いことになります。
ちなみに僕の試用しているヘッドフォンは、SONY の MDR-CD900STです。ずっとかけていても疲れ知らず、長年愛される定番ですよね。
SONY MONITOR HEADPHONES MDR-CD900ST | ||||
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さて、本機の中でも僕がグッときた特徴を仕様からかいつまみますと
- 多様なヘッドフォンを最適な状態でドライブできる「ヘッドフォンインピーダンスセレクター」を装備
- USB入力は「96kHz / 24bit(専用ドライバー不要)」と「192kHz / 24bit(専用ドライバー使用)」の選択が可能
- USB、光デジタル、同軸デジタルの3入力に対応
この3点、そしてOlasonicブランドの安心感とコンパクトさが挙げられるでしょう。僕は基板がどうだ、回路がどうだってことには興味がなく、音が良ければOKだと思っています。
ということで、これら特徴をそれぞれ簡単にまとめます。
ヘッドフォンインピーダンスセレクター
まずこちら、地味ながらも素晴らしい装備です。
世間的なヘッドフォンはおおよそ8Ω~300Ωにあたります。その抵抗に合せてLOW(100Ω以下)と HIGH(100Ω以上)でインピーダンスセレクトができるのは、なかなか気が利いているかなと。ちなみにCD900STは63Ωなので、LOWでの試用となりました。
なにぶん抵抗値100Ω以上のヘッドフォンを持っていないため、比較はできないのですが、複数のヘッドフォンを使っている人にはもちろん、様々な環境に対応しようという心意気やよし、と思いました。
ハイレゾな 192kHz / 24bit は未知の体験だった
さて、そんなD1の最大の特徴と言えばやはりこれ、ハイレゾ音源対応ですよね。
ハイレゾ音源についてかいつまみますと、ようは高いビットレートで圧縮された音源のことで、一般的なCD(44.1kHz/16bit)より圧倒的に高音質(例えば192kHz/24bit)である、と言われています。ただし当然ながらCDには載せることができないデータ量になりますので、その提供はサービスページからのダウンロード主体。また、ハイレゾ音源を堪能するには専用の再生機器が必要と、まだまだ一般的とは言いがたいのが現状でしょうか。僕もこの日まで1つもハイレゾ音源を持っていませんでしたし、買おうと思ったこともありませんでした。
そこに現れたのが本機です。こりゃーハイレゾ体験するしか無いわ!と思いまして、ハイレゾ音源で良さそうなものを色々探してみましたよ。そこで見つけたのがこちら、ハイレゾ音源販売サービス「e-onkyo」にて販売されていた、ヘルベルト・ケーゲルのマーラー交響曲1番です。モニター機を返したら再生できなくなってしまうのですが(笑)そこはこの記事のため、買いました!
>マーラー:交響曲 第1番 ニ長調 「巨人」 – ハイレゾ音源配信サイト【e-onkyo music】
で、なぜこれがちょうど良いかと言えば、実はこのCD版、僕のヘビーローテーションに入っているんですね。部分的にはいままで何百回聞いたかわからないレベルです。ということで、僕の耳が聞き慣れた同音源とどう違うのか、バッチリ試すことができました。
で、その結論としましては…。
全然違う。曲はいっしょ、演奏者もいっしょ、収録した時もいっしょ、音源がそもそもいっしょ。なのに、全然違います。いや、基本的には同じなんですよ。でも違うのは、ふと感じる空気感だとか、ホールの残響だとか、アンサンブルの表情だとか、とにかくなんだろう、表現能力が圧倒的に高いんですよ。そもそもこの録音自体が、教会で録音しようという特徴有る音源でして、その残響には教会ならではの独特なものがあるんですね。それが、いままで聞き慣れていたCDとは全然違うんです。違う以上に言い表す言葉が無いのが残念ですが、でも仕方が無いんですよ。これはビックリでした。
ただね、これって実はハイレゾ音源のレビューなんです。今回は通常音源との比較に過ぎませんから、じつはD1がハイレゾ再生装置としてどれだけ優れているかってのはわからないんです。ただし、わかることはあります。それは、音源がきちんとおなじ線の延長上にあるなってことです。ハイレゾだから特別なことしちゃおうぜ!ってのは感じなくて、真面目に、熱心に、音源の良さを表現しようって感覚がありました。だから最初にハイレゾ音源を再生した時は「あれっ!?」って思ったんですよ。でも聞き続けるうちに、「あ、全然違う」って思い始めまして。なんて表現して良いのかわからないんですが、質実剛健な作り、お客さんをだまそうとなんて微塵もしない作りをしているなと感じました。
ちなみにじゃあハイレゾじゃない音源を再生したらどうなるの!?ってところですが、そちらもご心配なく、Olasonicらしい、派手さはないけど音源をストレートに感じられるような音を聞かせてくれました。
さて、どう使うかね?
とまあここまでレビューしましたが、僕は音の専門家でもないですし、生楽器やっていたおかげで多少耳は良いと思いますが、ノイズがどうだーこの細かい部分がなんだーってのは説明できません。できることといえば、だったらどんな使い方があるの?ということの掘り下げでしょう。ということで、以下、いくつかのケースを想定してみました。
PCの脇においてヘッドフォンアンプとして
王道の使い方になりますね。Olasonic NANOシリーズならではのコンパクトさを机で味わってしまおうと。デスクの片隅にD1をそっと置いて(縦置きもオススメ!)PCとUSB接続をすれば、いままでとは全く違ったヘッドフォン音楽生活がはじまるはずです。これ、間違いなく本命の使い方ですよ。どれくらい場所を取るのか試したかったら、CDケースを3枚重ねるか、公式サイトのペーパーモデルを組み立ててみてください。
AirMacExpressからの受けとして
家にはすでにアンプもスピーカーもあって、買い換えは考えていない!でもAirMacExpressを活用して、ケーブルレスなホームオーディオ環境を作りたい!みたいな場合にはこれがおすすめ。うちのアンプなんかは古風なやつですから、光の入力端子がありません。一方でAirMacExpressを使ってPC~アンプ間をケーブルレスにしたい気持ちは強くあります。となると、AirMacExpressの貧弱なアナログ出力を使ってアンプへと入力する必要がありまして、これが…だったわけです。
そこで登場するのがD1です。AirMacExpressの光端子を入力として、D1からアンプはRCAケーブルにて。こうすれば、AirMacExpressを活用した音楽環境での音質がグッ!とあがりますよ。なんで、AirMacExpressとの組み合わせはなかなか良いかも。もちろんAirMacExpressを活用した上での、D1をヘッドフォンアンプとして使うって方法もありですね。こうすれば音源の場所を問わなくなります。
CDプレイヤーからの受けとして
もちろん素直にCDプレイヤーから受けるヘッドフォンアンプとしても利用可能です。もちろんOlasonicのCD1と組み合わせると、奇麗でコンパクトなまとまりにはなりますね。ただ個人的には、このアンプはPCを通じて高音質な音源を再生することに使って欲しいかなあ。
といういことで
2週間ほどお借りしましたOlasonic NANOCOMPO NANO-D1でしたが、その間僕にもたらしてくれたのは、クラシックをヘッドフォンで聞くようになった、という変化でした。いままでクラシックってアンプ+スピーカーじゃないとなんかいまいちな気がしていたんですが、D1を使った通常およびハイレゾ音源の再生+ヘッドフォンの環境は、十分に満足いくものに感じられました。いままでヘッドフォンアンプって選択肢に登ったことがなかったんですが、大きな音が出せない環境なら、こっちのほうが満足度は高いのかも知れない、そう感じられました。オフィスに1台なんてのも、無しではないかもしれませんね。使い方・活用の仕方がいろいろある。それこそがD1の最大の特徴なのかもしれません。
>Olasonic NANO-D1:NANOCOMPO(ナノコンポ):Olasonic
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Olasonic ヘッドフォンアンプ内蔵D/Aコンバーター NANO-D1 | ||||
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