ナガミヒナゲシの正体から駆除まで…オレンジ色の危険な植物について

2016/05/27今日のリンク紹介記事pdf,アレロパシー,ナガミヒナゲシ,植物草花,生活,農業環境技術研究所

今年の春(に限った話ではないけど)、道路脇の空き地や花壇に、ピンク色の花をつける植物を目にする機会が多くありました。いや、正確に言うなら、そればっかりを見た気がしていました。昨年まではそんなことなかったのに、気がつけば家の周囲にはこの植物ばかりが生えています。最初は「誰かが植えたのかな?」と思っていたんですが、冷静に見てみれば、そんなこと言えないレベルで見かけます。

そこでちょっと調べてみたところ…ずいぶんヤバイ植物「ナガミヒナゲシ」ということがわかりました。

周囲を駆逐し1000倍以上で増えていく危険な植物

いままでも目にすることがあったであろうこのナガミヒナゲシ、今年になって急に気になったのは、本当に恐ろしいほど増えていて、囲まれている印象があったからです。ほんの少しでも土が露出しているところなら、ところ構わず大量に生えている。そんなナガミヒナゲシに恐怖を覚えたんですね。

「これはやばいのかも」

と思って調べてみたらさもありなん。危険外来種として取り扱われている、典型的な「ヤバイやつ」そのものでした。

 

どれくらいやばいかの記述を、農業環境技術研究所のレターから引用します。

一つの実に平均1600粒の種子が内蔵されおり、一個体から100個の実をつけることもあるので、最大で一個体から15万粒の種子が生産されます。

ナガミヒナゲシの根から出る物質が、周辺の他の植物の生育を強く阻害する作用を持っている
春に気をつける外来植物:ながみひなげし(pdf)

もうこの2文を読んだだけで、わかる人にはそのヤバさがわかると思うのですが、簡単に説明すると、まず前者、1個体から15万粒の種子…ってのは繁殖力がものすごく、ものすごーく強いということを示しています。

たとえば根絶の難しい植物としてクローバーなどがあげられますが、あれは根がとても強いため、抜いても抜いても広がってしまう…という意味での危険性を有しているわけですが、一方でこのナガミヒナゲシは、種子の広まり方がやばいわけです。ケシの実といえば、ごま粒にも満たないようなサイズです。あの種子が15万粒生成され、靴の裏や車のタイヤ、場合によっては風などで運ばれ、そこらじゅうに広がっていくわけです。事実、日本には車のタイヤを通じて広まったようで、幹線道路沿いに激しく繁殖しているとのことでした。

さらに後者はわゆる「アレロパシー」のことで、周囲の別の植物の生育を阻害します。つまり、他の植物を駆逐して、自分だけ増え続ける性質を持っているわけですね。これ、まだ空き地なんかならいいんですが、農業地域に持ち込まれると甚大な被害を巻き起こすことがあります。家の花壇なんかに生えたら、自分の植えた植物が駆逐されてしまうかも…。

先の農業環境技術研究所のレターも、以下のようにまとめられています。

ナガミヒナゲシの雑草化リスクを、アレロパシー活性を評価項目に含む改良FAO方式(同24集)で評価すると、特定外来生物に指定されている植物に匹敵するか、むしろこれらを上回る高いリスク点数が得られました
ナガミヒナゲシはアレロパシー活性が強く、雑草化リスクが大きいので、広がらないようにする必要があります:(農業環境技術研究所)

これは本当にヤバイのでは…。

 

のりおのまとめ

気がついたら、土手沿いや道路沿いの雑草がすべて置き換わっていた…なんて怖い世界が訪れるかもしれません。そうでなくても、もし自宅の花壇なんかにこいつが生えていたら、即刻駆除することをオススメします。なお注意点として

未熟な種子にも発芽力があり、開花後の刈り取りは、かえって分布を広げることになるので、本種の蔓延を防ぐには、花茎が伸長する前のロゼット状態(図4左端)の時期に駆除することが重要です
ナガミヒナゲシはアレロパシー活性が強く、雑草化リスクが大きいので、広がらないようにする必要があります:(農業環境技術研究所)

ということで、取り扱いにはご注意ください。もし花が咲いたあとに駆除するのであれば、茎で切って先は全てビニール袋にいれて処分、茎からしたは抜いてこちらもビニール袋に入れて処分、というのが良さそうですね。

怖い!ナガミヒナゲシ怖すぎる!!

 

ナガミヒナゲシに関する情報

春に気をつける外来植物:ながみひなげし(pdf)

ナガミヒナゲシはアレロパシー活性が強く、雑草化リスクが大きいので、広がらないようにする必要があります:(農業環境技術研究所)