奇跡の訪問!最初で最後、鳥重@渋谷で僕はどんな顔をしたんだろう

2012/10/10おいしいものだけ紹介します(食全般),写真に関するジューシー,昭和,最初で最後,渋谷

渋谷はのんべい横丁にある、知る人ぞ知る焼き鳥の名店「鳥重」。その鳥重が今年いっぱいで終了してしまうと知り、まだ訪問したことの無い僕は、ずっとチャンスをうかがっておりました。そんな鳥重に、縁あってついに、ついに訪問することができたので、いま興奮してこれを書いています。

最初で最後、どれだけ望んでももう行くことはないであろう、そんな鳥重でのラストダンスがはじまりました。

Torishige at Shibuya 鳥重

 

のんべい横丁にたたずむ「鳥重」

先にも書きましたが、鳥重は渋谷のガード脇にある「のんべい横丁」にあります。昭和の飲み屋街ですね。最近ではこんな雰囲気のある飲み屋街も少なくなってきましたが、渋谷から徒歩2分のところにあるというのが驚きです。

Torishige at Shibuya 鳥重 Torishige at Shibuya 鳥重

さて、鳥重では10~11席を3回しするのが通常ですが、それぞれに細かい時間制限というモノはありません。いや、これは店主のおかあさんが、お客さんに気持ちよく滞在してもらい、また気持ちよく帰ってもらおうという気づかいですので、例えば今回21時半からの回だった僕たちも、前のお客さんが帰るまで外で待つこととなります。それが鳥重のルールなのです。

でも、不思議です。時間が過ぎようが、おなかが減ろうが、いっこうにして嫌な気持ちはわいてきません。むしろ「ついに鳥重に訪問できる」というワクワク感で胸がいっぱいです。こんなことは、初めてかもしれません。

 

Torishige at Shibuya 鳥重

ちなみにミーハーですから、おかあさんが最近出した書籍を真裏にある文教堂で購入してあります。

 

Torishige at Shibuya 鳥重

さて、そんな鳥重のお店の前で待つこと1時間弱。ついに我々が入店できる番となりました。最初で最後の「こんばんは」です。

 

Torishige at Shibuya 鳥重

入店すると、おかあさんは時間が遅くなったことを詫びます。が、そんなことはいいのです。いまは、このお店に来ることができただけで満足なんです。だから、僕たちは全員ニコニコしていました。どれだけ待たされても、訪問が嬉しい。再会が嬉しい。鳥重は、そんな店なんです。今日初めてお店に来た僕でも、おかあさんと数分話しただけで悟ることができました。

この店には、昭和の良いところが全て詰まってるんです。

 

Torishige at Shibuya 鳥重

まずは口直し用の大根おろし&うずらのたまごをいただきます。これが美味しくて、ついつい食べ過ぎてしまうのですが、最後までとっておかないとなりません(理由は後述)。

 

Torishige at Shibuya 鳥重

次に柔らかいモツ。やわらかい…うまい…やわらかい…。この大ぶりさが生み出すふんわり感は、いままでに味わったことの無い食感。え、モツってこんなにやわらかで美味しいの?という驚き。なんといっても、ジューシーなんです。へたなサシの入った赤身よりもよっぽどジューシー。最初っからこれか…。

以下、もうおいしいのはわかっているのに「おいしい」と書くのは野暮ったいので、その辺りは割愛します。

雰囲気だけでも伝えられれば。

 

Torishige at Shibuya 鳥重

カウンターはせまいけど、この肩のぶつかる感じがいいんだよなあ。

 

Torishige at Shibuya 鳥重

やっぱりお店には招き猫。そういえば、おかあさんは自宅の猫のことを「にゃんにゃん」と呼んでいました。

 

Torishige at Shibuya 鳥重

どんどんすすんで砂肝。コリッサクッフワァコリッという感じの不思議な砂肝。こんな砂肝食べたことないや…。

 

Torishige at Shibuya 鳥重

鶏レバーとササミ。とろっ。とろとろっ。つやつやの肉が内臓が、口の中でとろけます。まさに刺身。刺身以外のなにものでもないです。刺身を見出した日本人は偉大だ…。

 

 

Torishige at Shibuya 鳥重

ワインは気持ち良くなみなみと。表面張力を感じるくらい。

 

Torishige at Shibuya 鳥重

鴨の胸肉はジューシーに。実は車で行ったんで、お酒飲まなかったんですよ。焼き鳥「だけ」でこんなに満足したのははじめてかも。食べている時、僕はどんな顔をしていたんだろう。

 

Torishige at Shibuya 鳥重

しめは口直しの大根おろしにスープをそそいで。だから大根おろしは残すんです。はーあ、口の中がさっぱりしていく。これを食べたら鳥重ともお別れが近い合図です。名残惜しむように、皆がおかあさんと話し込みます。

有名人が来た話。昔の苦労した話。最近の楽しかった話。そしてお店を終えてからのやりたいことの話…。なんでこんなにほっとするんだろう。人付き合いってこういうものだよな。お酒の店ってこうだよな、と思わずにはいられません。そうなんです、どこにだって人情があればほっとするんです。少なくとも僕はそう。

 

Torishige at Shibuya 鳥重

最後に、本にサインというにはもったいなさすぎる一筆をいただきました。こんなに丁寧に一字一句書いてくれるなんて。

 

Torishige at Shibuya 鳥重

何十年も使われた店内はまるで焼き鳥のための装飾のよう。

 

Torishige at Shibuya 鳥重

一言であらわすなら、「昭和」。なんでそう思うのかはわかりませんが、確かに昭和がありました。

 

最後にお店を出る時、ごちそうさまといっしょに、ありがとうございました、いままでお疲れ様でした、という言葉が自然とでました。こんなお店がいままでにあったでしょうか。

鳥重は小さなお店で、そのお店がなくなったとしても、渋谷を歩く多くの人にはなんの影響もないのでしょう。しかし、このお店を知っている人にとっては、とても、とても大きな穴が空いてしまうのだと思います。たった1度でここまで魅了されてしまう、そんな鳥重に行けたことを本当に感謝します。

ありがとうさよなら、鳥重。あと3カ月、お元気で。

 

鳥重 とりしげ – 渋谷/焼鳥 [食べログ]

 

ぶつよ!―奇跡の焼鳥屋「鳥重」名物お母さんの元気が出る言葉
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