胃カメラ初体験してきた話〜バリウムより快適だし、むしろ毎回こっちがいい
僕も気がつけば38歳と、なかなかの年齢になっておりまして、毎年の健康診断は欠かせない行事になっています。ところがその健康診断の中に、受けるとその後の体調がひどいことになってしまう検査がありました。それこそ多くの大人が恐れる「バリウム検査」です。
今回の記事は、このバリウム検査をやめて、あえて胃カメラでの検査を希望した話です。結果、バリウム検査では得られない圧倒的な安心感と、想像とはまったく異なる快適な検査に、正直驚いた、という内容になっています。
バリウム検査は「体に合わない」
35歳を超えると健康診断で課されるようになるこのバリウム検査。正式には「胃透視検査」というそうですが、この検査の目的は、胃の異常を早期発見するためです。
バリウム検査をまだ受けたことが無いという方におおよその流れを解説しておくと、前日の決められた時間から絶食している胃に、発泡剤入りの液体バリウムをコップ1杯分ほど流し込みます。この時、発泡剤で胃を膨らませるため、検査中のゲップが禁止されます。
検査は人が乗れるほど大型のX線照射装置で行われます。この装置は胃壁にバリウムがうまく付着するよう、前後左右に動きます。そのため、手すりがついており、被験者は手すりにつかまっている必要があります。その上、検査技師から「左に3回まわって〜」「45度右に傾けて〜」などと指示を受け続けるという、想像以上にダイナミックな検査になっています。もちろんゲップはガマンしたまま。およそ5分ほどで検査は終了します。
バリウムはX線を通さないため、このバリウムを飲み胃壁に付着させることで、胃の形状や胃の中の様子を間接的に確かめようという目的で行われるのですが、なぜこんな不思議な検査が一般的になっているのでしょうか?
そもそもこのバリウム検査が主流となった背景には、昔の胃カメラ検査があまりにも痛く苦痛だったことがあるようです。が、今回胃カメラを経験してきた僕の本音からすると、バリウム検査のほうがよっぽど苦痛ですね。
まずゲップ禁止がつらい。発泡剤はいわば炭酸飲料の超強力版で、ゲップをガマンするというのは生理的にかなり苦しい状態を要求されます。その上で、技師の指示に従って右に左にぐるぐると回転しなければなりません。はっきりいって、辛い。
さらに、このバリウムというのが健康的に疑問のつく検査薬です。というのも、体に残ると体内で固まってしまい、酷い便秘を引き起こしたりする可能性があるのですね。そのため、バリウムそのものにも下剤が入っていますし、検査後に錠剤の下剤を飲むように指示されたりします。が、この下剤に対して過敏な体質をもっていると、バリウムを飲んですぐに下剤が効いてきてしまいます。まさに僕がこれで、検査中はギリギリガマン出来るものの、検査後すぐにひどい反応を起こしてしまうため、いわゆる「体に合わない」というわけなのです。
実際に2年間はこのバリウム検査をガマンして受けましたが、さすがにキツイということで、なんとかならないかと相談をしてみました。そこで担当医師から提案されたのが、代案としての胃カメラです。
胃カメラ検査は想像以上に楽だった
ということで胃カメラ検査を受けました。前日21時以降は飲食禁止、特に乳製品については夕食以降摂取するなと指導がありました。
当日は指定時間に受付を済ませ、検査の控え室へ。僕のケースでは着替えなども不要でしたが、服が汚れないように前掛けというかよだれかけのようなものを着けました。
まず最初にやらなければいけないのは、喉への麻酔薬の塗布です。塗布とはいっても塗るわけでは無く、ゼリー状の麻酔薬を喉の部分で5分間保持するというもの。飲み込んではダメと言われますが、ようは5分間ガラガラ言わずにうがいを続けるような感じです。2〜3分くらい経ったあたりから、舌の付け根あたりがぴりぴりしてきて麻酔が効いてきたことを感じます。5分経ったあたりで看護師さんがビニール袋をもってくるので、麻酔ゼリーはそこに吐き出し、検査室へと入ります。
検査室ではすでに胃カメラさんがスタンバイ状態。ああ、これを喉に通すのか…と思うくらいには太さがあります。だいたい直径1cmくらいだそう。
ベッドに横になり、中央に穴のあいたマウスピースをくわえて横になります。目の前にはモニターがあり、どうやらカメラが映しているものをリアルタイムで見られる模様。これはちょっと楽しいぞ。
さて肝心の胃カメラですが、思いのほかするすると入っていきます。喉の入り口だけ「飲み込む動作をしてください」という指示がありますが、あとは完全におまかせモード。ベッドに横になったまま、ただただモニターの中を見つめます。
胃カメラの操作には熟練度によって差が出るとは聞いていましたが、どうやら僕を担当してくれた先生はかなり上手なようで、聞いていたような痛みや違和感はほぼゼロ。えづくこともありませんでした。たまに「胃になんか入っているかも?」的な違和感があるものの、ぐんぐんと奥に進んでいく映像に釘付けです。胃から十二指腸に入るところ(幽門というらしい)なんかは感動ものです。明らかに「臓器が変わったぞ!?」という違いがあって、これは大変に面白い!
一方で操作をする医師の動きも面白いものがあります。胃カメラのケーブルをぐんぐん進めたかと思えば、ちょっと引いたり、また押し込んだり、場合によってはねじったりと、まるで踊っているかのよう。胃カメラを手足のように自由に操作している感があって、これもまた面白いなと。なんだ、胃カメラ面白いことしかないぞ!
ちなみに検査中はカシャカシャとカメラで写っている部分の写真をたくさん撮られます。この段階では「問題なくて撮られている」なのか、「問題があって撮られている」なのかがわからないため、なんとなく不安な感じは有りますが、モニター中の自分の胃はキレイなものでした。
そうこうしているうちに、10分いかないほどで胃カメラ検査そのものは終了。するするとカメラが抜けていくのはなんか新鮮。かぽっと抜けたら、マウスピースを外し、ベッドから起きて口をゆすいで、さあ終わったぞ!と思ったのもつかの間「先生から結果の説明があります」という想定外のお知らせが。え、え、胃カメラってその場でアレコレ言われるのか!
ということで、ここからは撮影した画像を見ながら先生からの診察結果解説を聞くフェーズに入ります。まず結論からいうと、全く問題なしということで一安心。ただし色々と見ていく中で「ここは昔に逆流性食道炎やってましたね」とか「ここは一度荒れたことがありますね」みたいな説明があって、以外と過去には知らない疾病があったんだなと。
いままでこういった診察(過去に○○ありましたね)は骨や靱帯でしかされたことがなかったので、内臓に関して過去の疾病を指摘されるのはとても新鮮。というかよくわかんないバリウム検査に比べて、こうやって実際の状況を見て説明される胃カメラ検査の明快なことよ。安心感が段違いですよ。どーせバリウム検査で異常があったら胃カメラに回されるんだし、だったら最初っから胃カメラで良くないですか?
そんなこんなで終始にわたって興味本位が先に立った胃カメラ初体験は終了しました。あー面白かった。来年も間違い無く胃カメラ、選択しますね。
のりおのまとめ
検査終了後は1時間の水分・固形物の経口摂取禁止(麻酔のため)が指示されます。1時間経ったあとは水を飲んでみて、普通に飲めれば食物も解禁して良いとのこと。また、当日中に摂取が禁じられるものもなく、激しい下痢との戦いになるバリウム検査に比べても、胃カメラのほうが負担が少ないなと感じました。少なくとも僕にとっては。
事前に聞いていたような辛さも痛さもなく、またバリウム検査のような不透明感もなく、胃カメラは単純明快でなんとも清々しい検査でした。これを書いている今、胃のあたりに若干の異物感(胃カメラが通った感)こそありますが、終わった後の体への負担もそこまで大きいとは感じていません。繰り返しになりますが、僕にとってはよっぽどバリウム検査のほうが辛かったです。
そんなわけで、バリウム検査に難色を示しているみなさん、積極的に胃カメラ検査へと切り替えてみませんか?実際には、健康診断を予約する段階で聞いてみるのが良さそうですよ。なお僕の場合は健康診断当日に相談をしたので、胃カメラ検査のみ別日催行でした。ご参考まで。
なお記事中の素材は「いらすとや」さんから使わせていただきました。ほんと、なんでもあるな(笑
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X線と内視鏡は一長一短で両方必要です。 http://www.katsuda-ichouka.or.jp/stomach.htm の「レントゲンと内視鏡、どっちがいいですか?」の章を参照。なお「ゲップを我慢する」方法であるX線二重造影法は日本で発明され、日本での胃がん治療成績が爆発的に向上しました。