

みんなが何気なく見て論じている数字。そこに潜む数字のマジックを紹介します。
今後、統計や調査結果などを見るときの足しになれば幸いです。
数字をめぐるマジックというものは、世の中にたくさん存在する。身近な例で言えば、商品の値段があるだろう。消費税表示改正前の話であるが、世の中のほとんどのものは " XX980円 " の値札がついていた。2000円ではなく1980円、100円ではなく99円。これは、心理的に少しでも安く感じさせようとする数字のマジックだ。
また、同じ商品を買うにしても最初から値引きして15000円表示のものと、最初は20000円だが交渉によって15000円となるものを買った際には、その満足度が違ってくることも事実である。これは、数字というものが非常に現実的な表現力を持つのに対し、人間の理解は気分でしかないことを表している。多くの消費者は値札で商品を選ぶのではなく、安くなるかならないかの「お得感」で商品を選ぶのだ。
次に紹介する数字のマジックは、いわゆる統計における数字のマジックだ。例えば内閣支持率の調査が2種類あったとしよう。前者は支持率が70%であり、後者は45%だ。しかし前者は10件の有効回答しか得られておらず、対して後者は10000件もの有効回答を得ている。さぁ、ではこの調査のうちどちらの結果を信じますか?という質問を投げたらどうなるだろう。恐らくほとんどの人は前者より後者を信用するはずだ。それはなぜか?なんとなく大勢の人間に聞いたほうが、数字が正しい気がするからだ。でも、誰も「何人に聞いたら妥当か」なんてことは知らないだろう。
これは視聴率の世界でよく言われているのだが、統計的に「集団の中の何パーセントをサンプルにすると、総意とみなしても良い」という数値がある。恐らくどの調査も最低サンプル数(視聴率を参考にするなら約1000人)はこなしているのであろうが、この辺りの話をまったく言わないのも少し問題だ。件数に意味があるのかどうかというのは、ほとんどの調査で明らかにはされていない。雑誌などに載っているものは、特にその傾向が顕著ではないだろうか。偏りが激しい結果を、さも総意のように装っていることと同じ場合がある。
問題はそれだけではない。もうひとつ同じような調査があったとしよう。この調査では、前者・後者ともに2000件の回答を得ている。前者の支持率は51%で過半数を超えていた。後者の支持率は49%で過半数に達しなかった。過半数に達した、達しないの違いはイメージとして非常に大きいものだろう。ここで考えてほしい。2000人に行った調査で2%の差が出たとき、その2%は「誤差である」とはいえないのだろうか。
恐ろしいことに義務教育では数字の見方までは教えてくれないので、多くの人は数字が表示された時に「その数字に意味があるのかどうか」を考えることができない。統計の世界では「数字に意味があるのか」ということは非常に重要となってくるのに、だ。統計の世界では、その数字に意味があるかをはかるひとつの指標として「有意差」というものが使われている。有意差とは、2つの数字があったときにその差に意味があるのかどうかをはかるものだ。つまり、今回でいうなら2000人に聞いたときの2%の差が偶然なのかそうではないかを示す指標といっても良いかもしれない。
難しい話は割愛したいので有意差についてこれ以上の説明はしないが、やはりこういった「意味の無い数字もある」ということが全く認知されていないのは問題だろう。支持率は新聞社のやっている調査なので少しは信用があるのかもしれないが、他の調査、例えば「〜をすると早く死ぬ」「〜を食べて痩せた人がこんなに!」みたいなものはもう少し疑って見なければいけないのではないだろうか。
今回は身近な数字のマジックとして「気分のマジック」「サンプル数のマジック」「意味のマジック」を紹介程度で取り上げてみた。紹介程度にしたのは、数字を見るときにこういった注意点があることだけでも知っていれば、全く違った見方ができるからだ。原理や計算方法はしらなくとも、そういう事実があることだけでも知っていてもらいたい。数字を安易に信じては、いけないのだ。
#もちろん僕は数字の専門家ではないので、間違いや誤認があったらつっこんで下さい。
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