ポーラ美術館で香水調香体験!(Modern Beauty展の一環にて)【取材】

2016/07/20イベントレポート,静岡県(伊豆・三島中心)Beauty,Modern,posted,ポーラ美術館,取材,生活,箱根,美術館

Modern Beauty Pola Museum

ポーラ美術館にて9月4日(日)まで開催中の「Modern Beauty展」。こちらを4月に取材させていただきましたが、6月に開催された 香水作りワークショップ 「香りの教室」 もすごく興味がありました。しかもちょうどそのタイミングで箱根に行く用事があった!ということで、メディア枠にて体験取材させていただくことができました。

香水ってこうやって作るんだなあ…ということが良く理解でき、これから選ぶ時の目線が変わるな、と強く感じましたね。

何度来ても美しいポーラ美術館

Modern Beauty Pola Museum

ポーラ美術館は箱根の仙石原交差点から車で5分ほど。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

何度来ても山の中腹に建てられた施設の姿とその美しさには目を奪われます。地元でもある箱根にこんなに素晴らしい美術館があるのは、とても誇らしい。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

香りの教室が行われたのは6月下旬でしたが、とても良い天気です。ポーラ美術館はこの採光性が本当にいいよなあ。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

香りの教室の前に施設をぐるりと1周。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

どこを切り取っても絵になるなあ。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

最下層からのこの角度が一番好き。

ということで、妻と子供とともにModernBeauty展を駆け足で回覧しつつ、香りの教室にむかいます。

 

香水の作り方から見える「選び方」

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

受け付けをすると、まずはアトマイザーを選びます。アトマイザーとは、携帯用の香水スプレーのこと。今回は本体が曇り/透明と、キャップを金/銀から選ぶことができました。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

実は1番乗り。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

テーブルの上には何かに使うであろう器具が並んでいて、わくわくします。

 

そうこうしているとセミナーがスタート。講師はポーラ化成工業株式会社 横浜研究所 開発研究部スキンケア開発室 山本めぐみさん。まさに香水のプロです。

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

ところで、なぜ僕がこのセミナーに参加しているかといえば、ひとつは妻が調香にとても興味があったから。妻は調香関係の本をかなり所有していて、こういった体験をしてみたいとずっと語っていたのでした。なので今回はとてもいい機会になりました。

 

もうひとつの理由は、昨年のロンドンで体験した香水のパーソナルコンシェルジュ体験がとても良かったからです。一度にそんなに沢山の香水を体験したことがなかったので、あれはなかなかに衝撃的でしたね。その結果、男性ももっと日常的に使ったらいいんじゃないかと強く思うようになったわけです。とはいえ、僕としては自分で理論を覚えて、自分で選びたいという欲求がありまして。今回の体験会は「選ぶ」という観点からしても素晴らしいものになるのではないかと、最初から感じていました。

閑話休題。イベントに戻りましょう。

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

本日の流れはこんな感じ。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

まずは香水の原料のお勉強からです。大きく分けて香料は「天然」と「合成」に分かれます。当然ながら天然香料は高価であり、そもそも希少なものも少なくありません。バラやジャスミンなんかはうちでも育成しているくらいにポピュラーですが、アンバーグリスなんかはその存在自体が希少になってきます。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

ちなみにアンバーグリスってのはクジラの体内に発生する結石で、龍涎香とも呼ばれる伝説の香料です。いまは商業的捕鯨が禁止されているため、偶然ベースでしか手に入らないのだとか。アンバーグリス拾いみたいな宝探しの趣味もある、なんて話がありました。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

こちらもなかなか高価なオリスルート

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

バラの場合、最も香りが高くなる明け方から10時の間に採取するそうです。咲いたばかりのタイミングを狙うわけですね。これはバラ育成している立場からも納得。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

エッセンスを抽出するにはウイスキーでもお馴染みの蒸溜です。しかしながら、ローズエッセンシャルオイルとローズウォーターが同じ行程で生成されているとは知りませんでした。

 

さて、そんな香料の香りを確認する際には、こうした香料試験紙ことムエットを使います。

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

先端に液を付けているため、こうして途中で折り曲げておくと、机を汚さないそうです。ほほう。

 

香水の基礎を学ぶ

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

ここからは香水の構成について。香水っていろいろな種類があるなあとは思っていましたが、こうやって明確に区分されているとは知りませんでした。いわゆる「香水」が最も濃くて持続時間も長く、ライトなオーデコロンは持続時間もそこそこです。面白いなあと思ったのは、オードトワレとオーデコロンは少し被っていて単純に濃度の話でもないのかな?と感じたところですね。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

香水を語る上では欠かせないトップノート、ミドルノート、ラストノート(の香りの種類)。揮発性が異なるせいで、時間とともに別の香りに変化していくわけですね。この概念や分類もウイスキーに近いです。こうやって考えると、ウイスキー愛好家ならすんなりと受け入れられる話が多いですね。

で、実際に作ってみるとわかるんですが、ラストノートをいざ香水を調香している段階で感じ取るのはなかなか難しくて、これって調香師の経験から想像していく部分もあるんだろうなあと感心する次第です。

 

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

ということでここから調香がスタートします。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

調香の際に考えるのは、このボディとキャラクター、トッピング。どこのパフェの作り方だよ!と思ってしまいそうですが、そうなんです、芯を建ててその周囲と装飾を付け足すってのが香水の作り方なんですねえ。これまったく知らない世界なのでとっても興味深い。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

ボディは大きく分けて4種類。ブーケはその名の通りですが、フロリエンタルの「中庸感」ってのは、実際にかいでみないとわからないかもしれませんねえ。これをテキストで伝えるのはかなり困難。

シプルはわかりやすい木の香り。この4種類が一直線上にあるわけでもないのが、調香の難しいところです。

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

こちらがキャラクター。一気に種類が増えまして、この味付けが大変に難しかったですね。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

そしてこちらがトッピング(提供:ポーラ美術館広報担当=諸事情により自分で写真が撮れなかったので)。ザ・香料!という強い香りが特徴です。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

調香では、このボディ・キャラクター・トッピングを4:1:2で合わせます。実際には1=1滴ですね。トッピングでは同じトッピングを2滴いれてもOK。単純計算で4×8×9×9なので、実にこの短い時間だけでも2,592通りの香水を作ることが可能です。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

ちなみにシャネルの5番のレシピがこちらだそう。ものすごい複雑な調香になっています。プロになるとこのレベルなんですねえ。(提供:ポーラ美術館広報担当)

 

レッツ調香!

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

ということで、説明を聞き終わったらさっそく調香を開始します。レシピシートに自分の調香を書き留め、その通りにシャーレへと香料をたらしていきます。そう、この白いシャーレこそ調香の実験室になるものだったんですね。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

香料はこんな感じで、1滴ずつたらせるスポイトがついています。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

どんどん作るとどんどんムエットが並んでいきます。

とはいえ、この日は時間の関係でシャーレの6窓までトライすることができるというルール。そう、最終的には2,592通りから6種類を選んで調香し、最後に1つ選ばなくてはなりません。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

すごい難しいのが、テキストから想起するイメージと、実際の香りの差、そして時間がたっていくに準ずる香りの遷移ですね。先の講義のとおり、トップからラストまで、香水って香りが変化していくわけです。

最初の2つでめちゃくちゃ難しいことに気がついたので、3つめからはボディとキャラクターを固定して臨むことにしました。ということで、「フロリエンタル」×「アニマル」までは決定です。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

シャーレの窓を拭き取って6つ以上試すという荒技も使いつつ、最終的に選んだのは

フロリエンタル × アニマル × マリン × マリン

です。講師の山本先生からは「繊細な香りですね!」と褒めていただきました。ありがとうございます!

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

調香内容が決まりますと、最後にアトマイザーへの充填です。先ほどの調香に使ったサンプルよりもより「濃い」香料をアトマイザーに入れ、最後にアルコールで薄めます。ここをいい加減にやるとせっかく決めたバランスが崩れるので、わりと重要な行程です。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

妻も慎重に作業していました。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

アルコールを8分目までジュワー(これも加減が効いちゃうので難しい!)

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

できた、できました!生まれて初めて作ったオリジナル香水です。

 

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

封をして、使いごろになるのは1週間以上経ったあとだとか。馴染むまで熟成が必要なんですねえ。

 

のりおのまとめ

ポーラ美術館 ModernBeauty展 香水づくり体験 取材

はじめての香水づくりは最高に楽しい体験でした。このイメージを作って混ぜ込んで、トライアンドエラーを繰り返す感じはたまりませんね。なにより香水の正しい知識を得ることができたこともあって、今後製品を選ぶ時に前より迷うことがなくなりそうです。

今回の体験で感じたのは、イメージを具現化することの難しさです。特に調香の段階でラストノートまでイメージして作っていくというのは至難の業。これは確かに職人の世界だなあと思いました。妻も楽しそうだったので何よりです。

 

なお、今回はポーラ美術館の入館料と体験費用のみを取材ということでポーラ美術館さんに負担していただきました。

こんな貴重な機会を提供してくれたポーラ美術館さんに感謝です。本当にありがとうございました。

 

ポーラ美術館とModernBeauty展

Modern Beauty展 ポーラ美術館で芸術とファッションの深い関係を学ぶ【箱根応援】 #mb展 | フランス

Modern Beauty展 | ポーラ美術館

 

なお、こうした調香の世界に興味がある方には、こちらの書籍がオススメとのこと(妻より)。