【クラシック】年末じゃなくても第9を聞こう

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エアロプレインとクラシックを聞こう

以前にこの企画を始めて以来、なかなか2つ目のエントリが書けずにズルズルと来てしまいました…。が、今日はやります。やってみせます。クラシックの小ネタを紹介しつつCDを紹介する企画の第2弾です。今回紹介するCDは、ベートーベンの交響曲第9番「合唱付き」。まあいわゆる第9ですね。日本では主に年末に聴かれるこの曲ですが、当然ながら春に聞いても・・・(つづく)

問題ありません。いや、むしろ1年中聞くべきなのです!

ベートーベンの交響曲第9番とは

 有名すぎるこの曲ですが、少しだけおさらいしておきましょう。Wikiによりますと

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの交響曲第9番ニ短調作品125(ドイツ語:Sinfonie Nr. 9 d-moll op. 125)は、ベートーヴェンの9番目にして最後の交響曲である。副題として合唱付きが付されることも多い。また日本では親しみを込めて第九(だいく)とも呼ばれる。第4楽章はシラーの詩『歓喜に寄す』が用いられ、独唱および合唱を伴って演奏される。その主題は『歓喜の歌』としても親しまれている。古典派の以前のあらゆる音楽の集大成ともいえるような総合性を備えたと同時に、来るべきロマン派音楽の時代の道しるべとなった記念碑的な大作である。

第4楽章の「歓喜」の主題は欧州連合の歌に制定されているほか、コソボ共和国の暫定国歌として制定、ベルリン国立図書館所蔵の自筆譜資料は2001年にユネスコの『世界の記憶』(『世界記録遺産』とも)リストに登録された。

→  交響曲第9番(ベートーヴェン)@Wiki

とのこと。この曲について有名な逸話と言えば、カラヤンとCDの録音時間に関わるものですね。その昔、CDの企画について議論を重ねていたフィリップスとソニーが74分で同意に至ったのは、カラヤンの第9が収まるようにするためだった…という伝説があるのです。僕はずっとこの説で教えられてきたなぁ。

まぁ、本当のところは謎らしいですけどね。

やはり時代を超えたフルトヴェングラーで聴きたい

 第9の録音で有名なものとしてまず間違いなく筆頭に挙げられるのが、ドイツの伝説の指揮者、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーの演奏会をライブ録音したCDです。

フルヴェンさんってどんな人?

 このフルトヴェングラーさん(以下、フルヴェン)、非常に波乱万丈の人生を歩んだ方でして、幸か不幸か、あの悪名高きヒトラーが愛してやまなかったワーグナーの楽曲を得意としていたこともあり、大戦後に戦犯として音楽演奏禁止処分を受けてしまうのです。

 もちろん本人はヒトラーを応援していたわけでもなく、むしろユダヤ人音楽家を庇護したり海外へ亡命をはかったりした、いわば「反ヒトラー派芸術家の筆頭」のような存在だったのですが、運命とは皮肉なもの、なんと過去にウィーンで演奏後にヒトラーと(命の危険があるため、しかたなく)握手している写真を撮られてしまった事などで疑われることとなってしまったのです。

フルトヴェングラー、ピンチ!?

 ですがそこはフルトヴェングラーのこと、彼の信奉者や戦中に助けを受けた人たちが証言を重ねることにより、無事疑いを晴らすことができました。ただしその間に費やした時間は2年。すでに60歳を超えていたフルトヴェングラーにとってはあまりに長すぎる時間でした。

そんな彼を最も待ち続けたのは、お偉いさんでも聴衆でもなく、楽団(ベルリンフィル)でした。

おかえりフルヴェン

 その後のフルトヴェングラーとベルリンフィルの録音は、火の玉のような、いや激しいロックのような、とにかくどこを切っても熱湯した血が吹き出しそうな熱い熱い熱すぎる演奏ばかり。確かに現代のスマートで流暢な指揮者とは対極な存在であり、異端な演奏ではありますが、その演奏を聴けば間違いなく何かを感じることでしょう。

 前置きが長くなりましたが、そんなフルヴェンとベルリンフィルが織り成す最高傑作こそ、伝統あるバイロイト音楽祭にフルヴェンさんが帰ってきたときの第9の録音です。

 これはもう、指揮者も燃え、楽団も燃え、合唱団も燃え、聴衆も燃えるという、奇跡的な状況で録音された逸品でして、確かに録音は古いのですが、そんなものを超越していまだに名盤として君臨し続けているのです。

それがこのCDなんです!


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交響曲第9番『合唱』 フルトヴェングラー&バイロイト(1951 バイエルン放送音源)
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…でも、実は今回オススメするのはこのCDじゃないのです(笑

 おいおいおい、ここまで引っ張っておいて!?という話なんですけど、違うんです。フルヴェンさんが無くなる直前の「ルツェン音楽祭」における第9のほうが(個人的には)スゴイんです!

隠れた名盤、ルツェンの第9


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交響曲第9番『合唱』 フルトヴェングラー&フィルハーモニア管(1954)
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 先に紹介したベルリンフィルとのバイロイト盤は、飛び跳ねる足音が聞こえたり、聴衆の拍手がとても熱かったりともちろん感動もひとしおの1枚なのですが、いかんせん楽団が硬いのです。

 そこで登場するのが、このルツェン盤。楽団はフィルハーモニア管弦楽団という、伝統にとらわれずスペシャリストを集めまくった超絶楽団。例えば不世出な伝説のホルン奏者、デニス・ブレインなどが所属していることで有名です。もちろん彼はこの録音にも参加していて、唯一無二のホルンの音色(本当に彼の音は独特)を聞かせてくれています。

 そんな楽団が、もはや指揮活動を終えようとしているフルヴェンのために燃えたのです。ただし、その熱さは破綻に向かう熱さではなく、静かに、熱をたたえる太陽のような熱さ。ベルリンフィルとのように「ツーとカー」の関係ではありませんが、お互いが全力を尽くした結果の感動的な演奏に昇華されています。

とにかく聴いてほしい

 ということで、年末じゃなくても聴いてほしい第9はこのCD、フルトヴェングラーがルツェン音楽祭でフィルハーモニア楽団と競演した1枚でした!音質も今ほど良くありません。解釈も標準的なものではないかもしれません。でも、キますよ。この演奏はキます。くるんです。

 ぜひ、買って聴いてみてほしい1枚です。でももし合わなかったらゴメンナサイね(笑


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